2014年12月4日木曜日

第二期フランス留学学生会、いよいよ始動!

 

 

こんにちは! 第二期フランス留学生学生会がいよいよ始動しました!

今期の代表はグルノーブル第3大学に留学している田村優侑に決まりました。 加えて、斎藤勇希(パリ政治学院)と、信川智彦(パリ第7大学)、村山洋介(レンヌ政治学院)が運営のサポートを務めることになりました。

これから1年間よろしくお願いします!

 

改めまして、 フランス留学学生会とは、 フランス全土に散らばる学生を繋げるネットワークのようなもので、 オンライン上の情報交換だけではなく、 地域間、ときに地域の枠を超えた交流が主な活動内容となります。

このブログではその活動報告を中心としながら、 読者のみなさまに最新の現地情報をたくさんお届けしようと思っております! 今期は発信の方にも力を入れて行きたいと考えておりますので、 フランス留学を志す方々にとって有益な情報を提供するのは勿論、 フランスのことをあまり知らないという方にとっても、1度は行って見たくなる様な、そんなお話を投稿していけたらなと思っております。

いささか自分たちでハードルを上げすぎている様な気も致しますが(笑)・・・今後の更新を楽しみにしていてください!

 





 

 

さて、今回は最近のフランスの様子を少しご紹介します(^^)

 

フランスには公園がたくさんありますが、遊具も充実していて、休日には外で遊ぶ子どもでいっぱいになります。 また子供だけではなく、学生や大人たちが食べ物や飲み物を持ち寄ってピクニックをする姿なども、フランスではよく目にします。しかし最近は雨が続き、一段と寒くなってきたので、写真のように閑散とした日も…。色付いた葉も落ち始め、厳しい冬が顔を覗かせています。



 

 

また、冬の訪れといえば「雪」ですよね!フランス南東に位置するローヌ・アルプ地方では、11月頃から山々が白い帽子をかぶっています。写真はグルノーブル大学のキャンパスの風景です。スイス、イタリアに近いこの地域では、こんな壮大な景色が毎日見放題。空が広いと、心も自然と大きくなれる気がします(^^)

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冬といえばもうひとつ。そう、「クリスマス」のシーズンですね!この時期、12月はヨーロッパ中がクリスマス一色になり、もちろんフランス各地でも、クリスマスマーケットなどのイベントが開催されています。日本語でいう所謂「屋台」のようなところでは、クリスマス雑貨やチーズ、ワインなど、その地域の特産物にたくさんお目にかかれます。いろんな地域のクリスマスマーケットを歩き比べるのも、とても楽しそうですね(^^)


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次回からもフランスの魅力をどしどし紹介していきたいと思います。お楽しみに!



二期代表・副代表一同




2014年7月13日日曜日

Les cours de Lyon 3

こんにちは!

稲葉です。



今、フランスの学生はバカンス中!!

先日、友達の実家にお邪魔し、南仏でバカンスを満喫してきました!

本当に最高でした!!!



[caption id="attachment_220" align="aligncenter" width="300"]バンドルのビーチ バンドルのビーチ 水がとにかく綺麗!!   多くの人で賑わっていました。[/caption]

私も、海で泳いできました!!

この時期南仏は、日没が夜10時くらいで、よく歩き回っていたので、

とても日焼けし、真っ黒になってしまいました!

[caption id="attachment_219" align="aligncenter" width="300"] ラ・シオタの港[/caption]

とっても綺麗でした!

海岸沿いにあるお店のテラスで、和気藹藹と過ごしている

フランス人の雰囲気が大好きでした!





さて、本題。

リヨン第三大学の授業を取り上げるのを忘れていたので、

今回は授業について言及していきます!



まず、学事日程。

8月下旬〜9月上旬  オリエンテーション(任意)

9月中旬〜12月上旬 前期授業

12月中旬〜1月中旬 前期テスト

1月下旬〜4月中旬  後期授業

4月下旬〜5月下旬  後期テスト

こんな感じ。



前期は、秋のバカンス(Toussaint)とクリスマス休暇、

後期は、1週間程のバカンスが2回ほどありました。

テストの日程にもよりますが、前期のテストが終わってから、ほとんど休みなく後期の授業が始まりました。

授業開始の日にちやバカンスの有無は、学部によって若干異なるので、ちゃんと確認してくださいね!



リヨン第三大学には、6つの学部があり、

私はDEUFIAE(経済・経営学部)に所属していました。授業は基本的に全てフランス語で行われます。(英語で行われるのもいくつかありますが)

SELFの英語だけのプログラムに所属している留学生もいました。





◆   オリエンテーション

前期の授業が始まる前の2週間、留学生向けにオリエンテーションが実施されます。参加は任意ですが、フランス語の授業に慣れたり、留学生と交流したりする良い機会ですので、参加することをお勧めします。

オリエンテーションは、4つのコースがあり、私は、経済・経営のコースを選択しました。フランス語とフランス文化の他、マーケティングや簿記などの講義がありました。このコースには、アジア系の学生が私以外に一人しかいなく、エラスムスの学生が多かったためか、語学が堪能な人が多く、最初は圧倒されました。ドイツからの留学生が多かったです。

一方で、あるコースでは、半分以上が日本人というコースもありました。

リヨン第三大学は、留学生の受け入れ人数が多いため、日本人もそれなりにいますが、他の国の留学生や現地学生とも深く交流することが出来ます。その人次第です!

オリエンテーションでは、授業の他にも、留学生向けパーティーやリヨンの観光地巡り、芸術鑑賞がプログラムに盛り込まれていて、留学生活の第一歩としてとても有意義でした。



◆   正規授業

留学生は、自分が所属する学部に関係なく、どの授業も履修することができます。

リヨン第三大学には、シラバスというものが存在しません!

講義名やコマ数などのちょっとした情報は、大学のサイト上で見ることが出来ます。学期が始まる直前から、時間割も見れるようになります。学部によっては、授業に関する冊子をもらえますが、書いてある内容は全てネットと同じです。

履修登録までの期間は、わりと長く一ヶ月くらいありました。最初は、とりあえず興味ある授業に数多く出てみることをお勧めします。教授の口頭説明のみの授業も少なくないので、一回目の授業に参加してみて、様子を見ると良いです。



リヨン第三大学の授業形態は二つ、

CM(講義)とTD(少人数のゼミ形式の授業)です。

TDでは、出席はもちろん、積極的な参加が求められます。問題を解くほか、意見交換やプレゼンをすることが多いです。

TDは、直接学事に行って履修登録する必要があります。人数制限がある場合もあるのでお早めに。

登録後でも、国際課で簡単に履修取り消しを行ってくれます。履修に迷った場合は、とりあえず登録してみるのも良いかもしれません。



◆   授業紹介

 ・français 

留学生必修のフランス語の授業です。学期が始まる前に、クラス分けテストが実施されます。私のクラスは、ユニークな熱気のある先生ともに、徹底的に文法や活用を学びました。宿題や小テストが多く大変でしたが、細かいこと、曖昧になっていたことをしっかりと学ぶことができ、とても力がついたと思います。また、学期に一度、8分程度のエクスポゼが課せられます。エラスムスの学生はスピーチが上手な人が多く、刺激を受けました。評価は、出席、小テスト、期末テスト、エクスポゼの結果で決まります。

ちなみに、私は、月曜8時からこの授業を履修し、毎週起きるのが辛かったです。



・ culture française

留学生必修のフランス文化の授業です。毎回、各テーマに基づき授業が進んでいきます。テーマは、フランスの地理、政治、歴史、映画、料理など、興味深いものが多かったです。また、リヨンの文化にも触れ、リヨンならではのトラブール(道と道、建物と建物をつなぐ細い道)にまつわる歴史等も学ぶことができました。先生はとても気さくな方で、リヨンのオススメのレストランなど、実用的な情報も多々教えてくれました。テストは、各学期2回。QCM(選択問題)で問題数は50〜100問と多いです。かなり細かいことまで問われます。



・marketing

CMとTDセットの授業でした。講義では、マーケティングの理論を学び、TDで理論を用いて実際の市場分析をしました。TDの授業では、積極的な意見交換が求められ、最初は圧倒されましたが、最後まで心折れずに頑張りました。市場分析では、実際のデザートメーカーや製薬会社を取り上げました。私は、現地の学生に近い市場の見方ができないことで当初苦労しました。そこで、日々の買い物で意識的に商品棚を見たり、人気商品・企業を知ることを心がけ、また、現地の友達の家に行ったときには普段どんな生活をしているか尋ねたりして、現地の市場の知識を身につけていきました。TDの授業では、数回のプレゼンも課されました。期末試験は、3時間、A4、4枚程度の記事を読み分析し、設問に答える形式で、なかなか難しかったです。ですが、非常に興味深い授業でした。



・management des entreprises

CMとTDセットの授業でした。企業の経営戦略について、事例と共に学びました。先生のフランス語が聞き取りづらかったのですが、レジュメを入手してからは予習・復習しやすく、有意義に授業を受けることが出来ました。

正規生は、大学のマイページからレジュメをダウンロードできるのですが、留学生は許可されていなく、先生に申し出てもなかなか対応してもらえず困りました。授業を何回か経て友達と連絡をとれるようになれれば問題ないのですが、最初は悩まされていました。

・  japonais économie et entreprise

CMの授業でした。戦後の日本経済発展を、現地学生に混ざって学びました。あまり面白い授業ではなかったのですが、専門的な経済用語を知ることができました。また、この授業により、日本に興味をもつ現地学生と交流するきっかけをもちました。



・publicité et société

CMの授業です。広告の歴史や、広告作成までの過程、広告の社会的役割・影響など、広告全般に関する授業です。板書がなく、前期に履修した授業なので、自分でノートをとるのはとても大変でした。現地の学生にお願いして、ノートをもらえたのは良かったのですが、A4で60枚と膨大な量でした。



・écomonie des médias

CMの授業です。ベルクール広場の近くにある、リヨン第三大学のキャンパスで開講していました。メディア経済の授業で興味深かったのですが、パワーポイントの文字数が多く、どの情報が重要なのかを瞬時に見分けることがフランス語では困難だったため、効率よくノートを取ることができませんでした。授業では、細かいデータが頻繁に出現し、現地の学生は全てメモしていたので、テストを恐れていたのですが、テストでは、大問が数題で、大まかな流れを把握できていれば、対応できるものでした。



・ japonais thème / version / traduction

日仏翻訳の授業です。1年生からマスター2年生までの授業があるので、自分のレベルにあったものを選ぶと良いと思います。私は、主に3年生の授業を履修しました。私が履修した授業では、ニュース記事や小説、評論の文章を翻訳し、テーマも様々でした。特に興味深かったのは、日仏の文化の違い、フランス人から見た日本人という内容の記事でした。翻訳していく中で、現地学生や先生と意見交換することも多々ありました。細かいニュアンスや、自然な訳し方を学ぶことができ、翻訳の奥深さを感じました。



・その他にもいくつか授業を履修しました。







◆ 授業を終えて

留学中、講義の授業で起こりがちだったのが、ノートを取ることに精一杯になってしまうこと。スライドの多い授業では、ひたすらキーボードを打って授業を終えてしまうこともありました。家に帰ってから、そのノートを見て、辞書を使って復習。でも、これなら、友達にノートをもらって、授業に出席しなくても同じなんじゃないかと、ふと思うようになりました。

それ以来、ある授業では、教授の話を聞くことを第一にし、その中で重要だと思った点をメモするようにしました。後から、現地の学生にノートを見せてもらいましたが、重要なポイントはある程度把握できていたので、以前よりも復習がしやすくなりました。

なにもかもに手を出すのではなく、何が重要で自分がどうしたいのかを再度確認し、ある程度割り切る潔さも大切だと実感しました。



フランス語での授業は大変でしたが、徐徐に理解できるようになったり、TDの授業で意見交換に参加できるようになったり、前と比べたらずいぶん成長したと思います。

日々のちょっとした成長は、なかなか気づきにくく、自分にうんざりすることも多々ありましたが、それを乗り越えて、こうして今となっては自分の成長を感じることが出来てとても嬉しいです。



留学中、勉強は自分なりに頑張りましたが、勉強以外のことも大切にしていました!

友達とご飯食べたり、パーティーしたり、オーケストラ活動に参加したり、美術館やオペラに行ってみたり、旧市街ふらふらしてみたり、旅行したり、いろんなことしていました。勉強はもちろん大事でしたが、それ以外も私の中では同じくらい上位を占めていたので!

せっかくの留学なのだから、今しか出来ないことを満喫しようというスタンスで日々生活しました。その結果、充実した留学生活を送れたと思います。



ただ、どんなことにも、語学がもっと堪能だったらという想いは付き物だったので、留学前に語学力をつけておくことに越したことはないです。



[caption id="attachment_218" align="aligncenter" width="300"]ONLY LYON ONLY LYON[/caption]



今回は、この辺で!

近々、また記事書きますので、お楽しみに !!



Yuna INABA

2014年5月20日火曜日

Les cours de Sciences Po

“À très bientôt:)”

と前回記事にて元気に言っておきながらとてつもなく長い時間が過ぎてしまいました。前回が12月、今回は5月ということでほぼ半年でしょうか。うわあ…すみません。

寒い冬から季節は変わり、待ちに待った春がパリにもやってきました!:)

@Petit Palais@Petit Palais
 

実は先日Sciences Poでの最後の期末試験も終わり、季節的にも気分的にも、春です!:)

 

さて今回は、前回宣言したまま放置していたSciences Poの「授業」について書きたいと思います。

 

(A)   Grandes Écolesとは?

前回記事でも少し言及しましたが、Sciences PoはGrandes Écoles (グランゼコール)と呼ばれるフランスの高等教育機関の一つです。ここでフランスの教育制度について詳しく言及…したいところですが、私の意見云々含めて書くと膨大な量になるので、詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。これが一番わかりやすく説明してくださっていると思います。(ただしGrandes Écolesの一例にSciences Poがないのは心外…!歴代フランス大統領がたくさん出ているところなのに…!)

 

フランスの教育制度:

http://www.newsdigest.fr/newsfr/features/4786-education-system-in-france.html

 

Grandes Écolesの中でもSciences Poは特殊なものにあたります。その一例が、Classes préparatoiresがないこと。つまり日本の「高校」にあたるLycéeを終えた後、試験にさえ合格すれば、準備期間を経ずに入学できるということです。Classes préparatoiresには相当な金額が必要になるようで、これを行わずに入学できるようにする、という方針は、社会格差による不公平を是正しようとする動きの一環らしいです。まあつまり、お金持ちだけではなく、お金がなくても優秀な人を入学させてあげよう、ということですね。ちなみに入学後の授業料も累進制です。友達には一円も学費を払っていない人も全額支払っている人もいます。

 

(B)   Sciences Poの基本ルール

le jardin de Sciences Pole jardin de Sciences Po
入学後は3年間が学士課程、2年間が修士課程に割り当てられ、学士の3年目には必ず「フランス以外の国で留学またはインターンをしなくてはならない」というのがSciences Poのルールです。交換留学生の私たちは、たとえ自国の学校で3年生だろうと4年生だろうと、学士の2年生と共に授業を受けることになります。下手すると自分よりも3歳くらい年下の人も同じ授業にいます。そして彼らは本当に優秀です。とてもとても焦ります。

 

また、前の記事でも多少言及しましたが、Sciences Poは大変国際化が進んでおり、生徒の30~40%はinternational studentsだと言われます。そのため、どの授業に行っても世界各国の学生がおり、私がとっていた授業の中には生徒全員国籍がちがう、なんてものもいくつかありました。

 

(C)   Sciences Poの授業(for 交換留学生)

基本的に授業は一コマ120分。授業には大きく分けてLecture, Seminar, Electiveの3種類があり、Lectureは大講義+20人規模のカンファレンスのセット:Seminarは30~60人くらいの規模の授業:Electiveは15~20人程度の人数で行われる授業です。一クラス(120分の授業一つ)が5単位に換算され、交換留学生の私たちは最大35単位まで履修登録することが可能になります。この他に、語学のクラス(ほとんどの人がフランス語を履修します)やスポーツ、アートのクラスをプラスアルファで履修することができる、というかんじです。

 

意外と授業のコマ数は少ないのですが…なんといっても課題量が半端じゃない…!たとえば前期に履修していた「International law」の授業では、毎週100頁くらいの膨大なreadingがありまして。ほとんどが条約の原文やら大昔の誰それが書いた論文やらで、何だかとっても読みたくない…毎週ひいひい言いながら読んでました。ふう。要領のよろしくない私の場合は授業の予習復習に本当に時間がかかっていたので、それにessayやExposeが課されたり、同じ週にテストやら課題の締切やらが集中したりすると半泣き。でも頑張ればなんとかなるものですね。

 

交換留学生はどの分野からでも好きに授業を選ぶことができるので、本来は法律学科の私も、国際法等の法律の授業に限らず、欧州の福祉制度比較や家族社会学等、興味のあるものをたくさん履修することができました。一つ一つの授業を振り返ると量がおそろしいことになりそうなので割愛しますが、総じて感じたことを少しまとめます。

 

(D)   個人的に感じたこと

(1)   Method重視

Sciences Poが、というよりもフランス人が形式主義だからなのでしょうか?どの授業においても、methodが本当に重視されているなあ、と感じました。最初のオリエンテーションでいやというほど聞かされた”Sciences Po style”なるものを、ほぼ全部の授業でひたすら守り続けるかんじです。はて、Sciences Po styleとはなんぞや。簡単に言うと、(a)「イントロ+2大段落2小段落+結論」の構成を守る (b) イントロ部分に必ず”problematique”(自己設定した疑問、問いかけ)を組み込む (c) すべての段落の長さがだいたい同じになるようにする、といったものです。冒頭のproblematiqueと結論がきちんとつながっていない論文はクソだそうで、「理路整然と」「美しく」論文を書き上げることが求められているそうな…うーん。クリエイティブなアメリカの皆さまはぶーぶー文句を言っておられました。が、これもやってみれば慣れるものですね。正直はじめはめんどくさいなと思っていたのですが、人を説得する、あるいは人に何かを説明するための文章を書くのに、相手が読みやすい美しい構造で簡潔に書くことは必須要件ですし、いい練習になりました。期末テストでもこの形式に従ってessayを書くことが求められることが多かったです。

 

(2)   ヨーロッパ目線(フランス目線)

フランスにいるので当たり前なのですが、授業のすべてがヨーロッパ目線で語られるのはとても面白かったです。一例として「International Relations during 20th century」という授業を挙げます。だいたいが聞いたことがある世界史(第一次世界大戦~冷戦終結、湾岸戦争あたりまで)ではあったのですが、語り口はやっぱりヨーロッパ目線。それぞれの国の対戦における思惑やリーダーの思想をがっつりと学べましたし、目線が日本の外にあるので、日本を客観的に見ることができた気がします。満州事変とか21か条の要求とか日本ぼろくそ言われすぎてて思わず笑ってしまいました。完全に悪者。(まあ悪者ですけど…) 個人的に興味深かったのはフランスの外交政策。経済力や軍事力では到底アメリカに対抗しえないはずのフランスがどんな手段を使って国際社会の中で地位を維持してきたのか、というトピックは特に面白かったです。

 

(3)   教授と生徒の距離

基本的に授業が少人数なので、授業が教授の演説のみで終わることは絶対ありません。大講義はそうなりがちですが、それでも生徒の発言を授業に組み入れていました。授業中の意見交換もさながら、授業前後に質問してもどの先生もとても丁寧に対応してくださいますし、essayにもたくさんのダメ出し(笑)をしてくださいます。さらに感動するのは成績の付け方。日本の大学は単位だけ書いて、はい、おしまい。が定番ですが、Sciences Poの成績表は先生が生徒一人ひとりにコメントを残してくれます:) 先生がちゃんと見てくれていたんだなと思うと、次も頑張ろうって気になりますよね。

 

少しSciences Poの授業のイメージをつかんでいただけたでしょうか?:)

この記事が少しでもみなさんのお役に立てばいいなと心から願ってやみません。

 

またÀ bientôtとか言っといて更新しない、という事態が怖いので笑。

Thank you for reading this article:) Hope it arouses your interest in studying in Paris (especially at Sciences Po)!

 

 

青木洋子

慶應義塾大学法学部法律学科3年

パリ政治学院(Sciences Po)

2014年3月26日水曜日

フランス語のすすめ

こんにちは、CIREFE在籍の志村です。

今回は「フランス語のすすめ」と題して、生意気にもフランス語プチ講座をやっちゃおうと思います!もっぱら“発音”に焦点を当てて書いてみるつもりです。なぜこんなことを思い立ったかというと、日本で出回っている参考書の類があまり信用ならないからですね。ちなみにその元凶は“カタカナ”です。

 

さて、突然ですがカタカナと英語の距離感について考えてみました。それでわかったのが、英語とのこの可もなく不可もない絶妙な距離感こそが、外国語は全てカタカナで置き換えられるという幻想を日本人に抱かせてしまったんじゃないかということです。

 

どういうことか?例を見てみましょう。

 

“現代芸術”を英仏で比べてみます。

 

英:Contemporary Art

コンテンポラリー アート

 

まぁ、細かいところをつっこまなければいいとしましょう。

では次、

 

仏:Art Contemporain

アール コンタンポラン

 

ちょっと待った!

これです。こういう悲劇がフランス語ではあり得るのです。

 

フランス語をちょっとでも知っている人ならわかると思いますが、ここにはいくつものトラップがあります。まずは鬼門と言われる“r”の音。喉を使って発音し、いろいろな表情を見せるユニークな音ですが、「アール」は論外。“Art”を正確に記述できるカタカナは残念ながらありません (“r”の発音についてはこれといってコツというのもありません。よく聞いて、真似をする。練習あるのみですね笑)。さらに“Contemporain”、これには“r”も然ることながら、鼻母音(鼻を通して発音する母音)と呼ばれるフランス語独特の母音が豪華3点セットで盛り込まれています。ここでは“on”、“em”、“ain”がそれに当たりますが、「コンタンポラン」と言ってしまえば“em”と“ain”の区別がなくなっています。それに“em”は、どちらかというと「オン」に近い音です。

 

そういうわけで、カタカナを信じてはいけません。というかフランス語を勉強する上でたいして有効なツールでもありません。英語の場合にどうしてカタカナが役に立つかというと、発音規則がすこぶる曖昧だからなんですね。綴りを頼りに単語が読めない。だから近似でもいいからカタカナが役に立つ。けれどフランス語では、一度発音規則を覚えてしまえばあとはだいたいその通りに発音できるので、カタカナはそもそも必要ないということです。アクサン記号なども最初は厄介ですが、つまりは正しい発音への道しるべであり、覚えてしまえば味方です。だからまずは、発音規則をちゃんと覚えましょう!

 

それが出来たら、個々の音に注意を向けてみましょう。例えば“eu”と“ou”の綴りでは、敢えてカタカナで書けば両方「ウー」ですが全く違う音です。“humeur”は「機嫌」という意味ですが、“humour”は「ユーモア」という意味です。このように、微妙な発音のずれで意味が変わってしまうものが鼻母音に限らず多くあるのがフランス語の特徴。裏を返せば、英語の約半数くらいの量しかない語彙を発音の厳密さで補っているとも言えます。音に敏感になるべきというのはもちろん綺麗に発音するためでもありますが、同時に正確に聞き取るためでもあります。ちゃんと区別ができないとちゃんと聞き取れません。

 

それから、フランス語の性格について考えてみると面白いことがわかります。というのも、とかく特殊な音として扱われがちの鼻母音ですが、実際はそんなこともなさそうなんです。そもそも日本語や英語とフランス語では、喋るときに使っている口の部位が根本的に違います。これは感覚的なものなので言葉で説明するのは難しいですが、一般的なフランス人(と一応断るのは、移民系のフランス人にはあてはまらないから)のフランス語では、口の奥、口腔と鼻腔が分岐するあたりから音を出しています。試しに鼻歌を歌ってみてください。はい、そこです。対して日本語では口全体を広く使い、英語では舌の上あたりしか使っていない気がします、なんとなくですが笑。ともかく、フランス語は鼻を使って喋る言葉です。だから鼻母音は決して特殊な音ではなく、たまたま「アン」とか「オン」とか言おうとしたらそういう音になっただけであり、他の音だって鼻を使うのです。

 

 

では最後にまとめますと、

①発音規則をしっかり覚える

②それぞれの音を意識ししっかり区別する

③風邪を引いたようなつもりで鼻を使って話す

 

これであなたもきっと、

フランス人のような発音ができるようになります(責任はとりません笑)

 

 

それではまた!

 

 

 

志村 響

2014年3月17日月曜日

語学学校って何?

こんにちは、レンヌ第二大学付属CIREFEにて語学留学中の志村です。だいぶご無沙汰してしまいましたが、今回は前回の宣言通り、“語学学校”とはそもそも何なのか、どんなところが面白いのか、僕の通っているCIREFEについて触れながら紹介したいと思います。

まず、フランス留学と一口に言っても千差万別いろいろありますが、“フランス語”だけは絶対の共通項。そのフランス語を集中的に学ぶのが、文字通りですが語学学校なわけですね。ところで、集団には普通いつでも“目的”が伴います。経済学部なら経済を、法学部なら法を勉強してあわよくば仕事で活かすのが目的でしょうし、料理教室の目的は上手に料理ができるようになることです。そうやって自然と、世代的にも趣向的にもどことなく似通った人間が集うことになります。しかし、語学学校の場合どうでしょう?まずこれを考えないといけません。ポイントは二つあって、まず一つには、言語というのはあらゆる意味でも専門的ではなく、生活の全般をカバーするものであるということ。人が生きていくことの根底にあるものであるということ。そしてもう一つは、フランス語を学ぶための場所である語学学校がフランスにあるということです。フランスに暮らしている人にとっては、フランス語は目的というよりは成し遂げなければならない課題であったりします。つまり、ここに集う人たちは必ずしも同じ目的を持ってはいません。というか本当におそろしいくらいバラバラです。“le français”(フランス語)というあまりに漠然としたものを頭の上に乗っけて人が集まって来るのです。自国で出会ったフランス人と結婚し、フランスに移り住むにあたってフランス語の習得が必要になったロシア人、もともとムスリムだったけれどキリスト教に改宗したために母国に住めなくなり、政治難民としてフランスへの移住を決めたイラン人、かれこれ15年近くフランスに住んでいるから会話は難なく出来るけど、文法がまったくわからないアルバニア人、フランスの大学に進学するためにそれ相応の語学レベルに達するべく、その準備段階として通う中国人、ほとんど興味本位で一年ふらっとやってきた日本人、などなど、てんでバラバラ。これが語学学校の大前提です。

そんな、国籍も年齢もまちまちな僕たちを区切る唯一の指標が、やっぱりフランス語です。僕の通う語学学校CIREFEでは、A1,A2,B1,B2,C1,C2と進むにつれだんだんレベルが上がっていきます。これはDELF・DALFという国際的なフランス語能力認定試験のレベルに準じています。レベルごとにどんなことをやるのか大まかに説明すると、Aレベルでは基本的な初級文法や簡単な日常会話の習得、Bレベルでは最終的には精緻な文法理解とある程度の会話能力の会得、Cレベルでは文法も会話もできて当然で、文章の統括や高度な口頭発表ができることなどが求められます。なんて言いますが、“語学力”ほど曖昧なものはなく、各人の能力を6つにすぱっと分けるには自ずと無理が生じます。僕の場合を例にとってみると、去年9月の入学時、最初に振り分けられたクラスはB2でした。CIREFEの場合クラスの振り分け試験は筆記しかなく、僕は当時すでにある程度文法を理解していてたいしたミスもなく文章を書くことができたのでB2に認定されたわけですが、これは必ずしも僕の能力を正しく反映しているわけではありません。たまたま僕のいちばんの強みが評価基準になっただけで、他の能力、特に聞き取りなんかは間違いなくAレベルだったと思います。だから最初は本当に苦労しました。なぜなら、B2ともなればある程度は聞き取れて当然とみなされ、先生たちもとくにゆっくり話すでもなく普通に授業を進めるからです。そう、フランス語の学校なのに授業で使う言語もフランス語というのはなかなか盲点かもしれません。そんな“ズレ”に苦しまされ、なんだ先生いったい何を言ってるんだと苦労している僕の横で、すでにペラペラだった例のイラン人は僕からしたら知ってて当たり前の文法事項でつまづいたり、ごく簡単なディクテ(これはゆっくり言ってくれるから助かる)で聞き直したりしているのです。これはまったくもって謎でした。いや、今でも謎です。

謎です。

なんで文法がわからないのに話せるのか?

なんで自分で言ってることを書けないのか?

なんで書いてあることを正しく読めないのに会話ができるのか?

ただ、やはりよく聞いてみるとそういう人(ヨーロッパ系が多い)はかなりむちゃくちゃなことを言っていたりします、それでも通じるのがやはり謎ですが。もともと近い言語を持つスペイン人なんかはずいぶん適当なことを言っても大枠は外さずに会話が出来るのです。対して日本人や中国人なんかは、正しく話さなければと思い詰めて結局何も言えなかったりします(とくに日本人)。言語に限らずものごとは遠くから見た方がよく見え、そんなわけで僕らアジア人は丁寧にコテコテに文法を理解していくしかないのです。

[caption id="attachment_178" align="aligncenter" width="300"]R0013959 前期B2、文法の授業の最終回。最終回ということで先生がワインやお菓子をふるまってくれた。[/caption]

ただ、今は最初のクラスがB2で本当によかったと思っています。確かに苦労はしましたが、そのおかげでつく能力があるのも確かです。最初は何もわからない子供のようでしたが、たからこそ、がむしゃらにもがいてついていけるようになりました。ここで一つアドバイスをするなら、もし語学留学を決め、出発までに時間があるなら、文法など日本にいても勉強できることは十分に身に付けてから来た方が絶対にいいです。文法は、戦うための武装であり、踊るための衣装です。ちゃんと着替えてから来れば、あとは実践あるのみ。時間は限られているのだから、その方が効果的なのは歴然としています。あともう一つ言うなら、B1でどうなのかは知りませんが少なくともAレベルでは学生同士の会話はほとんど英語になってしまいます。フランス語は習いたてなのでしょうがないことですが、せっかくフランスにいるのになんとももったいない気がします。B2で英語を話すのはアメリカ人とあまりに英語がペラペラなやつの間くらいで、他はみなフランス語で話します。

そうそう、これが面白いのです(笑)。みんなが喋る、各国アレンジのフランス語を聞くことができるのは語学学校の醍醐味の一つです。とくに英語、スペイン語、中国語など癖の強い言語の話者のフランス語にはたいていの場合、母語が憑依します。もともと平坦な言語であるはずのフランス語に波が生まれるのです。これを避けるのは相当むずかしいようで、だからまったく癖なくフランス語を話すアメリカ人なんかを見ると僕は感心します。その点日本人は有利です。日本語もかなりフラットな言語ですから、フランス語の流れるようなリズムをそのまま受け入れることが出来ます。ロシア系やアラブ系は、見ているとかなり語学習得に長けているようです。癖もないし、発音もかなりはっきりしている印象ですが、これはロシア語やアラブ語にもともと多くの音が存在しているからだそう。

このように、フランス語を通していろいろな国の人たちと仲良くなれることが語学学校のいちばんの魅力だと思います。まったく違う文化で違う時代を生きてきた人と、共通の目的であるフランス語を通して対等に語り合うことが出来る。これはなかなかない経験です。日本にいてはなおさら持てない機会でしょう。

[caption id="attachment_177" align="aligncenter" width="300"]クラスのみんなでのフェット(ソワレとも言う、飲み会のこと)。右下の髪ながいのが僕 クラスのみんなでのフェット(ソワレとも言う、飲み会のこと)。右下の髪ながいのが僕。[/caption]

ではでは今回はこの辺で!

志村 響

2014年3月16日日曜日

“日本茶をパリで身近な存在に!” 寿月堂パリ 丸山真紀様インタビュー

こんにちは、エセック留学中の榎本です!

日々フランス留学中の学生をお届けしている本ブログですが、今回はインタビュー形式で、パリで日本茶の普及に邁進しておられる寿月堂パリ ディレクターの丸山真紀様のお話をお伺いしてみました。

[caption id="attachment_154" align="aligncenter" width="300"]青ほうじ茶(飛騨高山産、緑のお茶)を出していただき、味わいながらのインタビューとなりました 青ほうじ茶(飛騨高山産、緑のお茶)を出していただき、味わいながらのインタビューとなりました[/caption]

僕の好みで“フランスでビジネスをする”方向に質問が少し偏っていますが、大変興味深く面白いお話をお伺いすることができました。ぜひご覧ください!

―まずは寿月堂のご紹介をお願い致します。

「寿月堂の源流は、父が六代目となる丸山海苔店にあります。丸山海苔店は安政元年(1854年)の創業です。父は祖父を継ぐ以前に花王でニベアのブランディングなどを担当していたことから、父の代となってから丸山海苔店に本格的なブランディング手法を持ち込むようになりました。“日本一美味しい海苔”を自慢に三ツ星レストランで利用していただいたり、流通を通さない売り方、銀座歌舞伎座への寿月堂の出店、数多くの商標登録など様々な角度からブランド構築を行ってきました。寿月堂は丸山海苔店と別ブランドとして、お茶を専門に扱う店として2003年に築地にオープンしたのです」

―とすると、フランスでの出店は最近になりますか。

「こちらへの出店は2008年になります。2003年に夫の駐在にあわせ再びパリにやってきましたが、日本で働いていたJICA(国際協力機構)に、ここフランスでも再就職しました。子供ができ仕事を辞めた後で、2005年ごろから手探りで寿月堂パリの出店を模索し始めました。2006年10月にフランスの国際食品展示会SIALに出展し、多くの反響を頂き出店の確信を得たといったところです。出店地が決まると次は店舗設計ですが、こちらは縁あって建築家の隈研吾先生にお願いする運びとなりました」


[caption id="attachment_155" align="aligncenter" width="240"]inside 店内カウンター席の様子[/caption]

[caption id="attachment_156" align="aligncenter" width="240"]SOUSSOL 地下にはお茶室を設置してある[/caption]

―フランスで地道に営業を始め、今では多くの有名レストラン・ホテル・デパートでの取り扱いがある寿月堂ブランドですが、日本茶を広めていくにあたって苦労や印象に残る経験などはありましたか。

「多くの店では“お茶は無料で出すもの”という認識があった上に、食中に飲むのは一般的ではなく(水・お酒・コーラなどソフトドリンクが一般的)、そういったフランスにおける常識を打ち破っていく必要がありました。ここを有料にして美味しいお茶を出してはどうか、という提案が大変受けが良かった。数年前は“有料でお茶”というアイデアに抵抗があったレストランも、最近になって向こうから連絡が来ることもあります。少しずつ日本茶をお金を出して楽しむという発想が浸透してきています。また展示会での商談を経て、原材料としてお茶を使うアイデアも大変多く出ました。抹茶塩をつくるために抹茶を出す、といった具合です」

[caption id="attachment_161" align="aligncenter" width="206"]expresse 2 仏誌EXPRESSEより[/caption]

「もう一つ勉強になったのは、パークハイアットホテルに営業させていただいた際に言われたこと。それ以前は、ただ“日本”を武器に売ってきたんです。“日本ですよ。日本のお茶ですよ”、と。パークハイアットには、“世界の一流の人が集まるホテルだから、世界で一番いいお茶を提供したい。日本であることが重要なのではなく、世界で一番のお茶であることが重要だ”と言われました。それ以来、“日本茶です、ゆえに良いものです”ではなく、“世界で最もおいしいお茶です、ところでこれは日本茶です”という薦め方をするようになりました。別に日本に大した興味があるわけではなく、純粋にお茶を愛している方もいるわけです。このとき、日本を押し出したブランディングは成功しないですよね。いいお茶をだしていることが重要で、それが実は日本のものであった、という日本茶の愛され方が理想的だなと思っています」

―“フランスで売る”にあたって意識しているブランド構築・維持の考え方などはありますか。

「“歴史を語りブランドを語る”ことを意識しています。歴史はフランス人の知的好奇心を刺激し、ブランドイメージ形成に磨きをかけます。また出店地がサンジェルマン・デ・プレ地区、富裕層の住むエリアですが、彼らの来店を企図して出店した思いもあります。また商品の魅力の伝え方も工夫してあります。パッケージも刷新し、商品名についても長いネームは全てシンプルな日本語に変えて販売していますね」

―販売方法はどのように細分化されますか。それぞれの感触はいかがですか。

「インターネット、店売り、BtoBの3つの柱で動いています。サロン・ド・ショコラ、ジャパンエキスポなどイベントへの出展にも力を入れていますね。店売りについては、販売・喫茶・イベントがあります。毎週土曜日のお点前の体験が大変な人気ですね。フランスでは料理教室がかなり流行っていますが、お茶・海苔についても同じ感触を受けます。やはり全く知らない商品を単に売ることは難しく、アトリエや語りを通じて魅力に気づいてもらおうとしているんです。店舗からの売り上げが多く、BtoBとインターネットの売上割合を上げていきたいところです。インターネットは、フランス自体がネット販売を嫌悪してきた経緯もありやっと最近伸びてきたところですから、今後期待できますね」

―フランスを中心にしながらも、諸外国への販売網拡大はどうでしょうか?

「フランスを出発点にヨーロッパ諸外国へ拡大させようともしており、スイス・ドイツ・ベルギー・スウェーデン・オランダなどで良い感触を得ています。やはり始めは富裕層が対象となりますね」

―日本茶を広範な層に広めたい思いはあると思います。富裕層を超えた普及への取り組みはありますか。

「そうなんです。ジャパンエキスポなどを通じ“伝統”にとらわれない若者への拡大も考え始めていまして、“抹茶のスタバ”を企図して二店舗目を検討しています。ただし、フランスでは立ち飲みが実は少ない」

―仰る通りですね。外国資本、それこそスターバックスぐらいのものという印象です。

「そうですね。また立地も重要で、この店舗が立地するサンジェルマン・デ・プレは富裕層・セカンドハウスをもつ外国人・資本力のある観光客のためのエリアと言っていいでしょう。人通りは少ないが、重要な顧客が訪れるわけです。抹茶ドリンクを提供するような店舗の場合、“寒くても人が通る”元気のあるエリアへの出店が求められます。マレあたりはどうかと考えているんですよ」

―マレというと、モードの発信地であったり、かわいい雑貨屋であったり、若者に人気のある賑わいあるエリアですね。
ところで、フランス人は欧州諸外国と比較して日本人が好きと言われます。それについてどう思われますか?それに対応したビジネスの在り方などは工夫されていますか。

「日本好きはフランス人のうんちく好き・好奇心旺盛さに由来するのでしょう。大きく異なる形で文化的成熟を迎えた日本を知ることは、彼らにとって一つの教養になるのです。そして好奇心が強い人は富裕層に多いということも、ビジネスとしては利点となっています。また若者をみても、ジャパンエキスポで抹茶ドリンク片手に写真を撮るコスプレをしたフランス人の若者をみていると日本への強い関心と、それに比例したビジネスチャンスを感じます」

―フランスで日本茶を売るにあたって直面した日本との違いなどはありますか?お店にいらっしゃるフランス人の反応をみて、新たな学びなどはありましたか。

「海苔とお茶、の組み合わせは日本では極めて一般的なことです。海苔を卸す需要はお茶と共にあり、またお中元・お歳暮など贈答において組み合わせて使われてきました。ただしこれをフランスで理解されることは難しく、質問されることが多いですね」
「価格設定ですが、初めは何せ手探りでしたから、基本的な商品を揃え、商品理解も難しいはずであるから価格も安めに設定しました。すると、“こんな玉露はあり得ない。安すぎる”と逆にお客様に高い商品を求められたんです。高いものが良いもの、という考え方が強く、価格も高めに設定するようになりましたね。一方フランス人がどこまで価格の価値を理解しているかは不明で、“玉露”というブランドイメージから美味しいに違いないと信じているような人もいます。抹茶が葉でなく粉だと知らない顧客もいて、説明に苦労したり…(笑)」
Alain et Daniel

「そもそもお茶を全く知らない人は、店にはなかなか来ないです。展示会では興味本位の人が多いですけどね。以前から教養としてお茶を知っている人であったり、日本独特の”旨味”が分かるような人が来るわけです。これでは、日本茶をフランスに広めることはできません。この学びから、出店する二号店は甘い抹茶ラテや抹茶アイスクリームのように、単に日本の味を押し出すのではなく、一ひねりしてフランス人の趣向に合わせたものを提供していく予定です」

―日本茶を広めるにあたり、今後の展望はいかがですか。富裕層の街パリといえど、欧州全体の不景気も相俟って懸念材料もあるのではないでしょうか。

「イギリスはお茶文化、フランスはカフェ文化と呼ばれていましたが、健康志向から近年カフェインが少ないお茶がブームになってきているんです。マリアージュフレールやKUSUMI TEA、ルピシアなど、お茶を扱いフランスで人気を増しているブランドは増えています。確かに不景気のなかアパレルは冴えませんが、依然として食品は強いですね。フランス人のエンゲル係数、高いですよ。“外側でなく中身から”の意識が徹底していて、食事にはお金をかける。その点で、商品の価格改定だけでなくよりプレミアムのついた商品も扱っていくことを検討しています」

―店舗にはお茶道具も置いてありますね。日本茶を求める人は、これらも買っていくのですか?

[caption id="attachment_158" align="aligncenter" width="199"]Jugetsudo 2-13 691Natsume 輪島塗のお棗[/caption]

「お茶道具とお茶そのものの需要はなかなか結びつかないんですよ。茶器は、骨董品好きやコレクターに受けます。お茶を飲みたい人、お茶道具を集めたい人、は綺麗に分かれるわけです」


―海苔は、お茶に比して評判はどうなのですか?

「海苔はBtoBで卸すことにほぼ特化しており、店舗での売り上げは少ないですね。日本人はお茶をたくさんもっているので海苔を買ってくれますが、フランス人はそもそも茶葉を持っていないのでお茶の方をたくさん買ってくれます。海苔の方が受け入れられるのに苦労しますね」

―エセック留学やパリ第三大学での修士取得など学問的な部分を含め、フランスで長期に渡り多様な経験をされてきた丸山さんですが、長く暮らされてみて、“日本人がフランスで暮らすこと”を、どう感じられますか。

「この20年で相当変わったと思います。エセックへ留学していた頃は、アジア人でひとまとめにされていましたよ。今は本当に日本に対して尊敬の念を持っているように感じます。特に、3.11の影響が大きかったのではないでしょうか。“あの脅威にここまで勇気をもって闘い、助け合った国はない”、と。たくさんのフランス人が泣きながらお店にかけつけてくれたんです。これに関連して日本的な生活、日本的な精神文化を評価する動きを感じます。例えば10年前には、日本がこのようにポジティブに捉えられることはなかったんですよ」

―このように日本が評価されていくなかで、新しいビジネスチャンスを感じられることはありますか?

「伝統工芸の方々がお店に商品営業をしてくれることも多いですが、伝統工芸品の販売はなかなか難しいのが現状ですね。ただし、クリスマスは唯一買ってくれる人が多い時期で、カップルで“あの茶器を買ってあげるよー、色は何がいい?”などと話していたりします。少しモノが変わりますが、マッサージ器などが近年流行りだしたようですね。フランスにはいわゆる”癒し系”のプロダクトが大変少なかったですから、その点で随分進んでいる日本にはビジネスチャンスがあるかもしれませんね。そして先ほど申した通り食品はまだまだ安定しているので、オペラ地区(注:日本人居住者の集まるエリアで、日本レストランや書店などが多く並ぶ)以外にもレストランの展開はできるでしょうね」

―学生へのアドバイス等があれば頂戴できますでしょうか。

「若いうちは、好き嫌いなく好奇心をもって人と付き合うことです。年齢を重ね、余裕ができると、苦手な人を避けても生活はできてしまう。そこから新しい人間関係をつくることはとても難しいと思います。」

―有難うございました。

最期に、フランス留学をしている学生へのメッセージ、またフランス留学を検討している学生へのメッセージを書いていただきました。

"フランス人の日本に対する興味、尊敬の念はここ数年更に輪をかけて増しているように感じられます。若者は日本のアニメ・POPカルチャーに興味を、また中高年の方は日本の伝統文化に興味を、そしてまた老若男女問わず日本料理は大人気で、本当にありがたい限りです。留学生のみなさん、またフランス留学を検討している皆さん、もっともっと日本の素晴らしいところをアピールしていってください。そうすることで、留学生活が、色々な広がりを持つことは確かです。"

丸山様、ご多忙の中ありがとうございました!
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丸山真紀 様
東京都築地生まれ。慶応大学法学部法律学科卒業後、途上国開発援助プロジェクトマネージメントに6年従事、アジア、アフリカを数十カ国にわたり回る。2003年よりパリ在住。2005年より寿月堂パリプロジェクトに従事し、2008年にパリ店をオープン、現在に至る。実家は海苔の老舗、丸山海苔店。
Maki MARUYAMA

仏テレビ番組"Goûts de Luxe"出演のご様子はこちらをクリック!

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寿月堂パリ
2008年10月にパリ6区サンジェルマン地区に寿月堂初の海外店舗としてオープン。日本茶専門店として、静岡、鹿児島、京都等を産地とする高級日本茶を提供、茶器も扱っている。地上階には5席の喫茶スペース、地下は茶道具等の展示スペースとなっており、また土曜日には、お点前の体験講座も開催している。
店舗設計は隈研吾氏。
Jugetsudo outside night 1

2014年3月8日土曜日

Cours à SCPO BDX

こんにちは!稲田です。

自己紹介したっきり音沙汰なしでしたが、元気です!!とても。みなさんいかがお過ごしでしょうか?

フランス留学中のみんなは揃ってバカンスだった2月末(おそらく)、旅行に出かけた方も多いのではないでしょうか。

日本の大学も長期休暇なので、イタリアはどこも日本人が多かったです。

あ、バカンスの間はイタリアにいました。気軽にシェンゲン協定加盟国内をスイスイ旅行できるのは、フランス留学の大きな魅力のひとつかも、なんて笑

[caption id="attachment_135" align="aligncenter" width="300"]上から見たボルドーの街並み 上から見たボルドーの街並み[/caption]

フランスの大学はバカンスの時期がかぶってることが多いので、バカンスにはみんなこぞって旅行します。

つまり、、チケットが高くなる!!んですねぇ。とくにSNCFのチケットは露骨に値上げするので、バカンスの旅行計画は早めの計画と早めのチケット購入が肝心です。

ボルドー⇄パリ はTGVで3時間程なのですが、carte jeuneを使えば25ユーロくらいなります。(安っ!)しかしこれをバカンス期に買おうものなら平気で75ユーロとかします。3倍...

今週はバカンス明けということでフランス語に見事に支障をきたしまして、リハビリしつつ授業を受けています......

 

さて本題。今回は、ボルドー政治学院の授業についてご紹介しようと思います。

(需要はあるのか!?w)

留学生には、CEPというゼミのようなコースも用意されています(試験をパスすると履修出来る)。僕は1er semestreだけこれをやっていました。エクスポゼと議論中心の20人ほどのクラスです。ディセルタシオンもあります。

今回はCEPではなく、講義形式の授業について書いていきますね!

留学生にも開講されているフランス語での講義形式の授業は1セメスターに40個ほどです。この他に英語開講の授業や、オープン科目(学年が関係なく時間数も少なめでゲスト講師などによるもの)などもあります。留学生は1~4年の授業から選択出来ます。(4年生はマスター1なので授業内容はかなり高度で専門的になります)ちなみに5年生(マスター2)の授業は留学生は履修出来ません。

下記は僕が先学期に試験登録をした授業です。

 

Cadres juridiques de la vie politique (1ère)

憲法と権力、国家について。連邦国家、合(違)憲性などを扱いました

Histoire des Relations Internationales (3ème)

1815年から現代までの国際関係を列強を中心に

Les Institutions européennes (3ème)

EUの諸機関とその役割、構成、EU史など

Droit Institutionnel de l'Union européenne (4ème)

EU機構法を詳しくみていきます

Gouvernance territoriale comparée (4ème)

フランス国内の共同体について、その他方法論なども

Les Institutions politiques françaises (pour les étudiants étrangers)

現代フランスの政治体制、憲法などなど

 

なにを思ったか、マスター1の授業を2個も入れてしまった前期。難しかったですほんと。やっぱりマスターの授業は概論や導入ではないので、とにかく専門的!って感じです。

ちなみに留学生必修の科目として、 Les Institutions politiques françaisesの履修は義務となっています。

 

「講義ノートを見せてもらって読む」って言ったって、楽ではありません。

なんせ1つの授業につきA4 60ページ!とかありますから。授業によりますが、少なくとも30ページ。

しかも専門用語だらけ!!!日本から幾つか専門書をもってきておいてよかったと思いました。

フランス来る前にもっとちゃんと専門知識とか専門用語勉強しておけば良かった。。。。

と、おそらく誰しもが後悔することでしょう。授業中、耳が閉じることなどしばしば。。

 

ちなみに今期履修している授業はこちら↓

 

Sociologie générale

社会学の導入科目で、おなじみデュルケムなど

Comparative Political Regimes

英語です。分かりやすくて興味深い話が毎週聞けます。

Théorie politique

政治学の理論的なお話。民主主義について掘り下げたりなど。

IR introduction

国際関係論の主要な理論についての授業

Droits et libertés fondamentales en Europe

欧州人権条約がベースのEU関連の授業

Droit international public

国際公法 割と難しく、院生と教授の質問会みたいになっているのを聞いていますw

Droit matériel et politique de l’UE

EUの具体的な法とその適用について。(機構法と対になっているような授業)

はい、こんな感じです。シアンスポボルドーでは主にどのような授業が提供されるのかと言いますと、政治、国際関係、法、経済の分野から、文化、社会学、地理学など様々です。ヨーロッパに関するものが多いのはもちろんですが、アフリカ系の授業もあります。

[caption id="attachment_141" align="aligncenter" width="300"]講義の休憩中の様子 講義の休憩中の様子[/caption]

どのような感じで授業が進められるかといいますと、

 基本的に大講義では教授がしゃべりっぱなしで、学生はノートを必死にとる(フランス人はほぼPCでとっています)

 

こうなりますwwもちろん板書など一切ありませんから、耳と手がすごいことに。。。

授業によっては、パワーポイントが使用されたり、印刷物が配布されたり、固有名詞が黒板にメモされたりもします。

そしてシアンスポの内部サイトに、毎回読んでおくべき資料や記事、動画などが各授業ごとにアップされていきます。(これは先生次第)

出席を取ったりすることはありませんし、日本でありがちなレスポンスシートのようなシステムもありません。

その代わり、学期末にたった1回の試験(方式は様々です)によって評価されますので、保険的なものもありません。

[caption id="attachment_142" align="aligncenter" width="300"]社会学の授業風景 社会学の授業風景[/caption]

「難しい内容をフランス語で90分ぶっ通しで聞き、ノートを取る」というのは想像以上に大変で体力を使うので、授業の合間にはエスプレッソで休憩したり、飴やチョコを持ち歩いたりするのをおすすめします。僕は朝や午後はガムでシャキッとしています。

授業中のガムもフランス人は普通にやっていますが、どうなのでしょう笑

[caption id="attachment_143" align="alignleft" width="225"]川沿いを歩いてみたり 川沿いを歩いてみたり[/caption]

 

[caption id="attachment_144" align="alignleft" width="225"]美術館へ行ってみたり 美術館へ行ってみた[/caption]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業に疲れた日は家に帰ってすぐ寝るもよし、ワインで酔うのももちろんよし、市街地に出てふらふらするのもいいです。

授業についていくのは決して簡単ではないですが、日々聞き取れるようになっていくのを感じるのは嬉しいですし、まとめたノートを眺めたりすると達成感があります。勉強と息抜きのバランスが大事ですね♪

今回はこの辺で。読んでいただきありがとうございます。

 

次回は気になる評価方式(試験の種類など)について書こうと思いますのでお楽しみに!笑

 

稲田 貴季  Takatoki INADA

 

 

 

2014年3月7日金曜日

ボルドー政治学院の学校紹介&留学生用の授業紹介

こんにちは!ボルドー政治学院に留学中の李すばいです。

今回は学校紹介と留学生向け授業紹介をしようと思います(^o^)

[caption id="attachment_121" align="aligncenter" width="225"]シアンスポ校章    シアンスポ校章[/caption]

[caption id="attachment_120" align="aligncenter" width="225"]シアンスポ工事中 シアンスポ工事中[/caption]

校舎増築のため絶賛工事中です。授業中に工事の騒音が聞こえることも…2015年度竣工らしいのですが、はたして予定通りに工事が終わるでしょうか。笑



まず学校紹介!

1948年に創設されたシアンスポボルドー(Sciences Po Bordeaux または l’Institut d’Études Politiques)はフランスにある社会科学系のグランゼコールで、フランス全土に9つある政治学院のうちの1つです。

フランスの大学は基本的に高校を卒業しバカロレアの資格を取得すればほぼ無料か少ない学費で入学試験なしに入学できますが、グランゼコールはバカロレアを取得したうえで入学試験に合格し、さらに高額な授業料を毎年払わなければなりません。

この入学試験は非常に難しく、バカロレア取得後ストレートで合格する人は極めて稀で、多くの入学希望者はバカロレア取得後に予備校(prépa)に1~2年通い準備をしてから再度受験し入学します。

また地元出身の人はそれほど多いわけではなく、他の都市や地方出身の学生も多く在籍しています。学生はみんな非常に勉強熱心で大講義でも分からないことをすぐ質問しますし、図書館や校内の机はいつも人でいっぱいです。

また学術研究活動も非常に盛んで、社会科学系のハイレベルな授業が多く開講されています。またシアンスポ学内でも学術シンポジウムやボルドー市が関わる会合がよく開催されています。



次は留学生向けの授業紹介!

シアンスポボルドーの留学生用の授業としては大まかに3パターンの履修の仕方があります。

①CEP(Certificat d’Étude Politique)コース

②フランス語トラック

③英語トラック

1つずつ説明します(^o^)



①CEP(Certificat d’Étude Politique)コース

CEPコースの学生は20人くらいのクラスに所属し、週3コマゼミ形式でフランスや出身国の政治・歴史・文化・言語・時事問題などについて定期的にプレゼン(exposé)をし、それをもとに討論(débat)をします。このコースを修了すると年度末に「政治学コース」の修了証をもらえます!

私は修了証欲しさにCEPコースを受講していますが、他の国の留学生はみんなフランス語が達者でまとまった意見をすぐに発言しますし、なおかつ正規学生向けの授業は進度が速くついていくのが大変です…このCEPコースはおそらく3パターンの中で最もハードだと思います。



CEPコースの長所は、

・様々な国の事情を知ることができること

・定期的にプレゼンをする機会があること

・留学生のみの少人数授業なので大講義よりも発言するハードルが低いこと

短所は、

・フランス語のレベル分けがされていないこと(ピンはネイティブなみに流暢な人もいれば、キリは基本的な主語や活用が怪しい人まで…)

・フランス語「の」授業、語学の授業というよりはフランス語「で」話すための授業の意味合いが強いこと

一長一短ですね!



CEPコースに登録するためには以下の条件を満たす必要があります。

・1年留学であること(半期留学でないこと)

・学期開始前にシアンスポボルドーから送られる登録書類の「フランス語トラック希望」「CEPコース希望」欄を選ぶこと

・学期開始後のCEP選抜試験を受験し合格すること(確か政治に関する文章を読んで自分の意見や文章の要約を書く形式だったと思います。試験と言っても数人しか落ちません!)

これに加えて政治学コースの修了証を獲得するためには以下の条件を満たさなければなりません

・CEPの授業に出席、発言や課題を含む授業参加をし単位を取得すること(通年で、1コマ8単位×3コマ=24単位)

・シアンスポ正規学生用で、1年生・3年生・4年生の講義(cours magistraux)から任意の授業(フランス語・英語)を受講・試験を通過し通年で36単位を取得すること(目安として、半期週1コマの授業は4単位、半期週2コマの授業と通年週1コマの授業は8単位)

ちなみに正規学生用の授業は、政治・経済・地域研究・国際関係論・文化・歴史・行政・社会学・法学など様々な分野があります!



②フランス語トラック

こちらはフランス語トラック希望でCEPコース受講を希望しなかった・あるいはCEP選抜試験に落ちた人が所属します。CEPコースのように受講条件はなく、単位取得を気にせず自由に正規生用の科目から授業(フランス語・英語)を履修できます。

シアンスポでの授業履修を減らして(あるいはほぼ授業登録せず)、近くにあるボルドー第3大学付属の語学学校DEFLEや中心街にある語学学校に別料金を払って通う人や、近くのボルドー第3大学やボルドー第4大学の大講義に潜り込む人もいます。



③英語トラック

こちらは前述の登録書類記入時に「英語トラック」を希望した人が所属します。学期開始時の説明会や掲示はすべて英語で行われ、正規生用の英語の講義を履修できます。

学内では留学生同士でも基本的にフランス語で会話するのですが(義務ではありません。もちろん英語、あるいはスペイン語やドイツ語で会話している人もいます)、基本的に英語トラックの人は普段の会話も英語でしています(レベルの高い人は英語トラックでもフランス語で日常会話をするらしいです)。

上記②③に所属する留学生は半期のみの留学でも所属することができ、またシアンスポ内でCEPとは別枠のレベル分けされたフランス語の語学の週1コマ授業に参加することができます。



以上①②③がシアンスポボルドーの留学生向けの授業です!

シアンスポボルドーに留学予定の方は参考にしてください(^o^)



[caption id="attachment_119" align="aligncenter" width="270"]シアンスポのパーカー シアンスポのパーカー[/caption]

シアンスポボルドーの運動部総括団体が製作したパーカーを買いました!中央のロゴはボルドー市の簡易紋章です。世界遺産登録名「月の港ボルドー」にちなんで三日月を組み合わせたロゴです。



トラムのネズミ
(シアンスポの目の前のトラム路線と、ネズミの落書き)



次回は寮や住宅事情について書こうと思います。

では(^o^)



李すばい Sibei LI

2014年3月1日土曜日

【仏留学アンケート 第一弾】

こんにちは!

今回は、フランス現地から、留学生活についてアンケート形式でお伝えします。

ブログ執筆メンバーに匿名でアンケートを行いました!

留学は、楽しいことがたくさんある反面で、大変なこと・辛いこともたくさんあります。なかなか普段聞くことのできないリアルな声を、こちらの記事で知って頂けたらと思います。留学予定のある人、留学に興味のある人は、是非参考にしてみてください。

今回は、5項目のアンケートを実施しました。

     ① 留学で一番楽しかった事


     ② 留学で大変だった事


     ③ 渡仏前に準備して良かった事

     ④ 渡仏前にやっておけば良かったと思う事


     ⑤ 留学する人へ一言

以下、9名の回答です!!

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① こちらでできた友達とベルサイユやスペイン、イタリアに旅行したこと。あとは日々の生活が楽しい:)

② 行政手続きが大変だった。ex. CAF, ImagineR, 移民局, Sciences Poでの授業登録etc

③ Visaやその他の書類の準備を早めにやっておいてよかった。

④ こちらでやりたいことのリスト作り。例えばどこに行きたい、とか、具体的に学校で何を成し遂げたい、とか

⑤ Parisでの生活はそんなに優雅ではありません!心していらしてください笑

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① スポーツの授業です。フランス語がよくわからなくてもついていけるのと、フランス人の友達ができやすいからです。

② 勉強や生活など様々な場面でフランス語がちゃんと話せないと大変なことが多かったです。授業登録などの方法は聞かないと教えてもらえなかったので、大変でした。

③ 特にありません。

④ フランス語の勉強をもっとしっかりとしておけばよかったと思います。特にリスニングを鍛えておくべきだったと思います。 住宅補助の際の出生証明書などもフランスに来てから家族に送ってもらったので、事前に取得しておくべきでした。

⑤ 授業や生活に慣れるのは大変ですが、その分楽しいこともたくさんあるので頑張ってください!

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① 様々な事情でフランスにいる人・様々な生き方をしている人たちとの出会い

② 1人暮らしする上での手続き(インターネットなど)。授業の内容を理解すること。

③ インターネットなどでフランスにいる人を見つけて前もってコンタクトをとっておくこと(FBのFranco-Japonaisのアソシエーションなど)

④ 留学先で学ぼうと思っていることを明確にすること。それに関する予習。イベントなどの下調べ。

⑤ 留学が楽しみで仕方ない人や、逆に不安でいっぱいの人など、いろいろな心境の方がいるでしょうが、その最初の気持ちとはうらはらに、留学中にはいろいろな予想外のことが起こり、それらは嬉しいものであったり辛いものであったりすると思います。留学しなければ分からないことだらけなので、それらのことをわくわくしながら待つのも良し、ガクブルしながら待つのも良しです。その時その時に全力で取り組めば、最終的には自分にプラスになると思います。がんばりましょう!

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① 留学生やフランス人と普通に会話することが私は一番楽しいです。

② フランスは住居手当、社会保障など手続きが多いし、手続きの書類が専門単語で普段あまり使わない単語が多いので提出するまで苦労する。   最初の頃はフランス語に耳が慣れなくてかなり苦労しますが、半年生活すると慣れてくると思います。留学生同士だと発音が悪くても理解してくれるが、フランス人だとなかなか言いたいことを汲み取ってくれない場合がある。

③ 日本でフランス語の練習をしてもなかなか身に付かないので留学半年前に来て耳を慣らすのがいいと思います。

⑤ 私の学校では生活をサポートしてくれる現地の学生を留学生に対して一人つけてくれるので、生活するのに困ることはありません。何かあればすぐに相談できるかなり近い存在で、日本には無い制度だと思います。ほぼ家族のように相手も接してくれるのでフランスで寂しいと感じたことはほとんどありません。

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① フランス人の友達の家に何度も招かれて手料理を振舞われたりくつろいだりなど、フランス人の日常生活を体験できたこと。留学生の友達のサプライズバースデーパーティーを開いたこと。

② 授業について行くのが大変だった。(ディクテ、発言)結果的に単位がとれたので自信がついた。

③ 実はあまりちゃんと準備していなかったので思いつきません…生活用品はフランスでも買えるけど、日本の方が安く品質もいいのでできるだけ持ってきた。あとは地球の歩き方をよく読んで危機意識を持った。

④ delf,dalfの受験(日本の方が受験料が安い。受けようと思ったら〆切をすぎていた…)、自分が勉強している分野の専門用語をフランス語で覚える、日本語でもいいので専門書を読んでおく、ディクテと会話の練習

⑤ 例え同じ大学から同じ留学先に行ったとしても、同じ留学生活を歩むことは決してありえません。遊びも勉強も充実した素敵な留学にしてください!

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① 様々なバックグラウンドを持つ人たちとの出会い

② 専門的な日々の授業の理解、語学力の足りなさを痛感することが多々あります

③ 留学していた先輩にいろいろ質問し教えてもらったこと。現地の友達を紹介してもらい、渡仏したときに迎えにきてもらったり、大学の手続きを手伝ってもらいました。

④ フランス語の聞き取り。ヨーロッパにきて英語の大切さを痛感しました。渡仏前、フランス語だけでなく、英語もしっかり勉強しておけばよかったと思っています。旅行をしている時は、ヨーロッパの歴史や、絵画など芸術に関する知識がもっとあればと思うことが多々あるので、余裕があれば事前に知識を増やしておくと、旅行が充実した物になると思います。

⑤ 留学は常に自分との戦いだと思っています。大変なことも多い分、楽しい事もたくさんあるので、自分に負けずに頑張ってください!

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① 一番がどれか決めるのはすきじゃないけれど、すぐに映画館やコンサート、テアトルに、お金をかけずに行けるという環境がとても好きです。ラジオやネットで面白そうなイベントの情報を聞いて、じゃあ今日はこれに行ってくるか、というような日々が私の中では最高です。 またアルザスの友だちの実家に遊びに行って、太陽の下でのアペリティフ、おいしいものを食べつづけた日々や、友だちの実家のブルターニュで海に通いつづけた5日間も今振り返るととても充実していました。

② ひとり暮らしが初めてだったので、一人になってぼんやりする時間がとてもさみしかったです。

③ 専門分野の勉強、毎日フランス語を最低2時間話すことを義務にしていたこと

④ 私にとっては簡単なことではないけれど、特に専門分野における自分の意見をもっと明確に主張できるようになっていればよかったです。 あとは文法の勉強ももっと厳しくしておいてもよかったとよく思います。

⑤ 努力して、色んなものをたのしんでください!

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① フランスとそれに近い国々との関係、文化を、ここで知り合う人たちに触れ肌で知れたこと。

② 学校、交通機関、イベントなど、情報の入手がどうしても語学の壁のせいで遅れてしまうこと。

③ 何か1冊でもいいので、フランスに関する本を読んだこと。

④ パリに住んでいる知人に「ローカル」な話をもっと聞き込めばよかった。

⑤ 私がやっておけばと感じたこと、大変だと感じたことに関連して、これから留学する皆さんは、ぜひ物怖じせずがつがつと先輩に質問してください!搾り取れるだけ、経験者から「ローカル」な情報をしぼりとってください!一生に一度しかない経験を、大切に過ごせますことを応援しています。

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① 多国籍メンバーでの旅行

② フランス語。。。

③ スカイプ英会話教室を続けていたこと

④ フランス語!!

⑤ 上記をみると分かるように、日本人が前提として苦しめられるのはやはり語学面だと思います。フランスでも英語は重要だし、英語の授業を受けるとしても普段の生活でフランス語は多用します。つまり、どのような留学の仕方であれ、フランスに行くのであれば二言語ともこれでもかというほどやってから飛び立ちましょう!

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今後も、多岐にわたる項目でアンケートを実施して行く予定です。

楽しみにしていて下さい :)

 

最後に写真を何枚か載せておきます。

 

[caption id="attachment_199" align="aligncenter" width="300"]セーヌ川沿い セーヌ川沿い[/caption]

[caption id="attachment_200" align="aligncenter" width="300"]リヨンの旧市街 リヨンの旧市街[/caption]

[caption id="attachment_201" align="aligncenter" width="300"]Gare de Lyonの近くのマルシェ Gare de Lyonの近くのマルシェ[/caption]

[caption id="attachment_202" align="aligncenter" width="300"]Gare de Lyonの近くのマルシェ Gare de Lyonの近くのマルシェ[/caption]

休日息抜きに、ふらっと川沿いを歩いてみたり、

旧市街やマルシェに行ってみたり。。。

ふとしたところで、素敵な人に出会うこともありますよ!

 

それでは!

私がフランスにきた理由

パリ第三大学に通っている城島未来です。

2月も終わりかけ、あっという間にフランスでの半年が経とうとしています。

今日は、なぜ私が大学を休学し、この地で留学を決めたかという

ちょっとしたストーリーをお話しようと思います。

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恩返しがしたい・言葉の可能性

小学3年生の頃、

突然告げられた父の赴任先は南アフリカ共和国という異国でした。

私は2年3ヶ月の間そこで暮らし、首都ヨハネスブルクの現地校に通うこととなります。

南アフリカはおよそ二十年前まで、肌の色で人を差別するアパルトヘイトという人種隔離

政策が行われていた国です。今では人種差別はなくなりましたが、人口の八割をしめる黒

人の多くはまだ貧しく、国内の経済格差が世界で最も大きい国のひとつと言われていま

す。

日本にいると、「生きていること」は当たり前のように感じます。

でも、小学3年生の私にも、アフリカでは「死」が私のすぐそばにあり、

その分、「生きていること」がものすごく価値あることとして強烈に意識されていたこと

を覚えています。

多種多様な人種、宗教、文化、言語、価値観が入り混じる国、南アフリカ。

「虹の国(rainbow nation)」と別名を持つこの特別な国で幼少期を暮らしたことで、様

々な立場から複合的にものを見る視点、一番弱い人の視点からものごとを想像することを

強く意識するようになりました。

そしてその中で、自分が一生かけて考え感じていくような物事の観点、経験を9歳の私に

与えてくれたこの国に、そして沢山の愛を与えてくれたこの国の人に、

いつか恩返しがしたいと漠然と感じるようになりました。

また、南アフリカでは英語のほかに11の公用語があります。

授業は英語ですが、その他にもアフリカーンス語とズールー語も須言語として授業で習い

ました。

はじめのころは、授業についていくなんてもってのほか。

友達すらいない。

英語を全く知らないまま現地校に放り込まれた初日、

なんとか席に座って一日を過ごしたと思っていると、クラスの皆が一斉に何かを唱え、席

を立ち教室を出て行きました。

今思い返すと、あれは終礼だったのですが。

生徒たちが全員帰ってしまった教室で、なにが起きたか分からなかった私は、

ずいぶんと長い間 取り残された教室にぽつんと立っていました。

その時の不安、孤独、泣きたくて目頭が熱くなる感覚を、私は一生忘れることはないと思

いました。

それから何も考えずにひたすら周りの子供たちの話す言葉の真似をしました。

恥も捨てて、となりの子にお願いしてノートを丸写ししました。

この国の子が好きなものをいっしょに食べ、ゲームを遊びました。

どれだけ私が喋れなくても、周りの子と違っても、クラスメートと先生たちは私を諦めま

せんでした。身振り手振りで私と会話をし、発音が上手くなれば心から喜んでくれまし

た。

そんな周りの支えのお陰で、2年経ち、何も苦労することがなく英語が話せる様になりま

した。

mik1

(ヨハネスブルグの小学校にて、クラスメイトたちと。)

友達とも自分の言いたいことがきちんと伝えられる。心からの会話を、人種や国籍、肌の

色が違っても、大切なひとと出来る。もとから人が大好きな私は、相手の口から出る言葉

に耳を傾け、自分は、自分の心から選んだ言葉でその人に自分のことを知ってもらうこ

と、またその人を深く知ることのできる、「語学」というものの可能性をつよく信じるよ

うになりました。

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武器と勘

そして大学に入った頃、自分に自信の持てなかった私は

自分に何かひとつ目に見えるような「武器」がほしい

と思うようになりました。

リーダーシップを磨く、資格を取る、学業をとことん追求する、色々な方法があったかも

しれません。でも、将来のビジョンがまだぼやけきっている私でも、一番自分のしたいこ

と、いま、自分のこれからの可能性を広げてくれる武器はどれだろう。と考えた時に、こ

れしかないと思ったのが語学でした。

(また、昨年TICAD V・第五回アフリカ開発会議  学生プロジェクトのお手伝いをしてい

た頃、「フランス語」のプレゼンスを強く意識させられたことも背中を押してくれる大き

なきっかけとなります。)

しかし、こうして立派な言葉を並べている城島ですが、

テキストに向かって文法を黙々と勉強することが

どうしても どーーーーうしても

出来ませんでした。それはもう驚きの出来なさ。(そう、頭が弱い!)

その時、ふと南アフリカで無責任な親のもと

現地校に放り込まれた頃の自分を思い出しました。

「うーん、行っちゃえば早いんじゃない!」

そう思い立ち、

半年後にはパリの女子寮で朝を迎えていました。(やっぱり頭弱い!!)

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私には、やはりはっきりとした将来の具体的なビジョン、

留学への崇高な目標もお話することができません。

でも、私は、自分の

直感と、コンプレックス、可能性

を追ってここまで来たのだと思います。

フランスに飛び立とうとしている読者の方のなかで、

「提出用の志望理由書」に書けた文章があったとしても、

心の中で

「本当は何がしたいんだろう」

「これが将来何に繋がるんだろう」

と感じ探している方は、絶対に、絶対に少なくないはずです。

私の周りを見ていてもそう感じます。

そして、周りから「留学すごいね」「さすがだね。」と言われ、プライドを持たずにはい

られない環境にある人ほど、なかなか「本当は何もないのに」と周りに言い出すことがで

きないことがあると思います。

でも、それで当たり前なのではないでしょうか。

しっかりレールをひいてそれに沿ってこなしている人のほうが、少ないことを知って下さ

い。焦らないで下さい。

自分の直感を信じて来たというのなら、それはランダムなものではないのではないでし

ょうか。今まで自分が見てきたもの、考えてきたもの、学んできたもの、蓄えてきたもの

の上にある。偶然ではなくその経験たちが自分の方向を導いてくれているのだと思いま

す。

私はフランスで完璧なゴールや目標がなくても、

ここで最大限の力でやれることをやりきれば、それが何かは分からなくても

おのずとチャンスは巡ってくると信じています。

今、行きたい!と少しでも感じていて、

その道が開けているのならば、ぜひ歩き出してみてください。

きっと、人生の面白いことに繋がっていくと思います。

さて!南アフリカの話が長くなってしまいましたが、

次回はさくっと

フランスの「気づくと面白い」文化について書きたいと思います。

それでは!(城島)

mik2

(凱旋門から見える冬のパリ。撮影2014/12/20)

 

mik3

(フランスの学生たちと旅行したReimsにて。撮影2014/02/15)

2014年2月25日火曜日

リールという街

初めまして。こんにちは。

立教大学法学部政治学科3年の窪内 尊之と申します。現在休学し1年間リールと言う町のリール第3大学の中にあるDEFIDepartement Enseignement du Français a l’International) と言うところで語学の勉強をしています。

私がフランスに来た理由はフランス語を勉強するためです。が、どうして仏文学や仏語専攻でないのにフランス語を勉強しているのかと疑問に持たれるかもしれません。ですが長くなってしまうので今回はなしにして私のいるリールと言う町について紹介したいと思います。

現在私がいるのはリールという街ですが、どんな町かと聞かれても日本人の方にはなかなか馴染みがなかったり知られていなかったりするのでここから少しずつ紹介して行きたいと思います。

まず簡単にリールの街を紹介しますと、フランス北部のベルギー国境に隣接する都市で、周辺部を含めた人口の規模ではパリ、マルセイユ、リヨンに次ぐフランス第4の都市でフランス北部の工業地帯の中心的役割を担う都市です。
リールはパ=ド=カレー県の県庁所在地であると同時にノール地域圏の首府でもある


またフランスの軍人、政治家であるシャルル=ド=ゴールがリールの出身であるのでリール中心の広場には彼の名前が付けられています。
シャルル=ド=ゴール広場

リールのノートルダム聖堂


リールの商工会議所とオペラ座

同時に学芸や文化的にも盛んな街で多くの教育機関が存在し、フランスでも有数な規模の美術館を持つ都市でもあります。最近ではリール近郊のランスと言う街にルーブル美術館の分館ができたりもしています。
リール美術館


またリールは交通の便がとても良く物流の中心地でもあります。具体的にはTGVでリールからブリュッセルまで30分、パリ1時間、ロンドンまでは2時間弱といった具合です。

また市内には無人運転のメトロとトラムが2路線ずつ通っていてベルギーの国境近くまで行くことができます。メトロの各駅は様々な芸術家によってデザインされておりひとつひとつの駅が全く異なる雰囲気で非常に面白いです。
リール=フランドル駅。元々はパリ北駅だった建物を移築した。(ロンドン、ブリュッセル行きのTGVはもう1つのリール=ヨーロップ駅から発着する)



このようにパリよりもブリュッセルに近いため多くの人が週末に出かける際や海外に旅行する際にはパリのシャルルドゴール空港ではなくブリュッセル空港へ行く人の方が多いです。またフランスとベルギーでは消費税などの税率も異なるのでわざわざベルギーまでタバコやお酒を買いに行く人もいるそうです。

このようになかなか変わったところに位置しているリールですがリロワーズ(リールの住人のこと。パリならパリジャン。)の話す言葉もなかなか変わっています。リールなどフランス北部の一部は元々ベルギー南部のワロン文化圏に含まれているため、同じフランス語でも話すのがとても速かったりワロン語のなまりや言い回しなどもあったりと独特です。(日本で言うと東北弁のようなイメージでしょうか。)
ほとんどの人がワインよりもベルギービールを好んで飲むといった文化的な違いもあります。
ベルギービールのKWAK。フラスコのようなグラスで飲む。
各銘柄によってグラスが異なるのも面白い点。



現在私が学んでいるリール第3大学はフランスの公立大学で主に人文科学系の学部が集まっています。リール第1大学は自然科学系、リール第2大学は社会科学系の学部から構成されています。リール第3大学は語学や国際関係を学ぶ学生が多いのでERASMUS(エラスムス、EU内での留学制度)やISEP(アイセップ、アメリカの留学制度)、交換留学等によって世界各国から様々な人種、文化、言語の人々が留学してきています。個人的なイメージだと近年EUに加盟した東欧の諸国から来ている学生が多いような気がします。

以上が僕の住んでいる街、リールになります。まだまだ少ししかリールの生活について紹介できていないので次回からもっと紹介していきたいと思います。
それではまた。

窪内 尊之


2014年2月19日水曜日

パリで4つの活動―映画、テアトル、写真、音楽

こんにちは。はじめまして!
法政大学4年生、9月からパリ第七大学に派遣中の山城ゆか(ユカタン!)です。

日本でもこちらでも映画とフランス語をしています。
パリを選んだ理由は、やっぱり映画の街だからです。ここで生活していると、いろんな映画に出会えます。というのは、パリには様々なタイプの映画館が、日本や他の町と比にならない程あるし(実は世界一、映画館の多い街なのである)、映画館ごとにその週、月、シーズンで映画祭や特集を組んでいます。こうして、今まで日本で出会ってこれなかった面白い作品や監督にたくさん出会うことが出来るのです。

その中でも私がよく行くのは、映画好きには定番のCinematheque FrancaiseとForume des imagesです。他の小さな映画館にも行きますが、この2つは年間カードで見放題なので、時間さえあればそこで1日に2本も3本も映画を観ています。

最近もCinematheque Francaiseで映画を観ていたら、わたしの前に座っていた男性2人がその映画の監督と主人公を演じた俳優で、うしろには女優さんが座っていたので、勝手に上映後に質疑応答の時間が始まるという面白いエピソードがありました。(しかもその映画は20年前のものです。笑)映画を観ていたパリジャンも、シネマテークのスタッフも、みんなノリノリでそれは40分ほど続きました。制作者と観客の距離の近さ、観客も映画についても友だちのように良いところ悪いところ何でも指摘していくところ、この国の好きなところです。

その図(俳優とDante Desarthe監督)


でも毎日、映画だけ観ているわけではありません ^_^ 
わたしがパリで大事にしている活動をいくつか挙げるとすると、映画の次にテアトルと写真、音楽があります。
テアトルと写真は、私の住むCite Universitaire Internationale de Paris を拠点に行われているアトリエです。

テアトルでは、演じて、舞台での演出を学んでいます。アジア人が一人だったので、アジア人というアイデンティティをもとに小さな一幕を他の学生とつくりました。私たちの先生はベラン・キュビラというパリで活躍するテアトル女優で、2週間に1回、4時間みんなで1幕を作っています。


うしろでにやにやしてるのが私 :P


写真の活動は8月から友人宅の暗室で始めていました。これまで現像の仕方などを教わってきましたが、いよいよ今年からアトリエが始まり、寮で暗室が使えるようになりました。

アトリエの活動としては現像以外に、sténopé(針穴写真機)を作ったり、マン・レイたちがやっていたようなphotogrammes (またはrayogrammes)の実験をしたりします。この後はポートレートをとりながら写真集をつくり、その展示準備をすることになりそうです。講師はアラン・エリントンという、パリで活躍するイギリス人写真家です。
例のsténopé を作ってるところ

フランスで撮って現像した写真

音楽の活動について少し書くと、週に1度、バイオリンを習っています。学生同士なので、授業は無料です。また、パリでは毎晩すばらしいコンサートが5ユーロからあるので、週に1回音楽を聞きに行きます。最近よく行くのはシャンゼリゼ劇場です。日曜日の朝の学生12ユーロのコンサートは、座席指定がないので、毎週1番前の列で音楽を楽しんでいます。


 
 わたしはシャイな性格ということもあって、何か自分の好きなことをしながら、すこしずつ人に出会うのが好きです。そんなわたしにとってパリは、とても住みやすいところです。世界中のアート、カルチャー、そういうものが、有名なものに限らず、本当にたくさん集まってくるし、それを身近なところで、方法で、うんと提供してくれるので、自分の世界を広げながら、それを人と共有する楽しみがあります。

わたしはどんなにかじっても、まだまだおいしいところがいっぱいいっぱいあるパリが大好きです。^_^



さて、今回はこのあたりにして、次回は寮生活や大学の授業について書かせて頂きます。^_^ 

ユカタン

2014年2月8日土曜日

パリの”歴史軸”

 こんにちは!エセック留学中の榎本高之です。

仏留学に関して複数の学生の声が纏まったwebサイトがないと感じ開始した弊ブログですが、ご覧の通りたくさんのメンバーが集まり盛り上がってきている今日この頃です。僕の学校は日本人がほとんどいないので、この機会は日本語を思い出すのに最適だったりします。笑


今日は“Axe Histoire(歴史軸)”について。
Axe Historique
(画像: http://www.lenotre.culture.gouv.fr/fr/ja/tu/foc04.htm)
エトワール凱旋門(Arc de Triomphe)を起点に、シャンゼリゼ通りを下りオベリスクを臨み、コンコルド広場からテュイルリー公園(Jardin des Tuileries)に入る。
振り返ればシャンゼリゼと凱旋門の向こうにビジネス街ラ・デファンス(La Défence)の新凱旋門(グランダルシェ。La Grande Arche de la Fraternité)が幽かにみえる。
公園を進み、カルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)を経てルーブル美術館、ガラスのピラミッド(Pylamide du Louvre)へ。
―”Axe Histoire (歴史軸)” と呼ばれる線分上を歩いていることになります。


さて、”歴史軸”とは何か?


フランス流の景観設計には“軸”の設置が欠かせません。

17世紀にはじまるフランス式庭園は、軸線を強調し幾何学的に設計が行われたもの。

ヴェルサイユ宮殿の広大ながら均整のとれた庭園設計はこの代表です。
上空からみたヴェルサイユ宮殿。北西から南東に軸が伸びる
(Google Mapよりキャプチャ)

“パリの歴史軸”は、この均整のとれた景観の中心を為す軸に、軸上の建造物の歴史を重ねたことから名づけられています。


軸上の3つの“凱旋門”を比較してみます。


最北の“新凱旋門(la Grande Arche de la Fraternité)”
 新凱旋門の名は日本独特で、凱旋を意味する”Triomphe”は元来の名前にありません。直訳するなら“友愛の大アーチ”。フランスらしい。
新凱旋門はオフィスビルとして活用されている
(画像:
http://www.parisinfo.com/musee-monument-paris/71478/Grande-Arche-de-la-Defense
フランソワ・ミッテラン政権下で建設が最終決定され、1989年に完成ましたが、この年はフランスにとってとっても特別な年。


1789年、フランス革命。そう、200周年なんです!


なお、100周年目にはエッフェル塔が立てられ、万国博覧会が開催されています。偶然ではありません。


 
中心、エトワール凱旋門(Arc de Triomphe)


単に“凱旋門”とも呼ばれますし、元々の仏語もそう。他の凱旋門と区別するために、このエリアの名称エトワール(Étoile)がつけられることがあるわけです。Étoileはフランス語で”星”。凱旋門を中心に放射線状に道路が広がる景観が、上空から星にみえることから、この名がつけられています。
凱旋門屋上からエッフェル塔、アンヴァリッド、
モンパルナスタワーをみる 






フランスの学生証があれば留学生でも無料で屋上の展望階に上がることができます。




最南端、カルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)

8区のコンコルド広場(Place de la Concorde)からチュイルリー公園に入ると、パリの中心地にいるとは思えない、広々とのどかな公園が広がっています。



まっすぐ南東へ下るとカルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)が見えてきます。最も有名なエトワール凱旋門に比べなんだか小さい。


元来アウステルリッツの戦い(三帝会戦。Bataille d'Austerlitz)でロシア・オーストリア連合軍へ勝利した後、これまでの勝利を称えるものとしてナポレオンが造らせたのが、カルーゼル凱旋門。完成後この小ささに落胆したナポレオンは、新たな門の建設を指示。そして現在本家とされているエトワール凱旋門が誕生したわけです。そういった背景をもつ可哀そうなカルーゼル凱旋門は、元々の小ささも相俟ってなんだか寂しげに見えます。

このカルーゼル凱旋門までを歴史軸とする説もありますが、更に進むとルーブル美術館のメインエントランスが見えてきます。ルーブルのピラミッド(Pyramide du Louvre)
このピラミッドがルーブル美術館のメインエントランス。背後はルーブル美術館の一部、ドノン(Denon)翼
グランダルシュと同じ1989年の完成。ここまでが歴史軸と呼ばれることが多い印象です。なお、授業ではその先のヴォージュ広場(Place de Vosges)までを歴史軸と定義していましたが、直行路がなく直線自体から外れています。

ところでルーブル美術館は、“広すぎて纏まりがない”というのが正直な印象です。余りにも多くの展示品()、余りにも多くの展示スペース()、余りにも多くの“有名な品”。既に3回行き計12時間ほど見て回っていますが、まだ見終わっていません。(もちろん、ざっと見まわるだけなら2,3時間で終わると思います。勉強しようと思いだすと、一通り理解するには20時間以上はかかるのではないでしょうか

“モナリザ,”“民衆を導く自由の女神,”“ナポレオンの戴冠式,”“レースを編む女,”“カナの婚礼,”“ルイ14,”“シテール島の巡礼”(以上絵画)

“ミロのヴィーナス,”“サモトラケのニケ,(以上彫刻)

“ハンムラビ法典”

などなど数えきれないほどの傑作・著名品に溢れた美術館。

モナリザ(Mona Lisa)は防弾ケースの中に
ミロのヴィーナス(Venus de Milo)

ところで大英博物館もリヨン美術館もそうでしたが、エキゾチックだからか古代エジプト・メソポタミアに関する貯蔵品はこれでもかというほど幅をとってミステリアスに展示されています。欧州人は好きなんでしょうね。

ちなみに先ほどの凱旋門で軽く触れましたが、留学生含めフランスで学ぶ学生は、ルーブルを始めとして様々な美術館・博物館・観光施設が入場無料になります。信じられないほど太っ腹。このおかげで、パリでちょっと時間が出来ると美術館に行く、など贅沢な一日の使い方もできてしまいます。最高。

 さて、“パリの歴史軸”は、伝統的なフランス式景観設計を基盤とする、3つのアーチを含め荘厳な歴史あるモニュメントをつなぐ線分というわけですね。パリに来た際はこの軸の一地点に立ち二端を眺め、すっと伸びる軸の美しさを体感してみてください。


次回はマーケティング関連の授業を一つ纏めようと思います。




榎本高之