2017年1月26日木曜日

Selectra社 インターン募集のお知らせ

以前よりフランス留学学生会がお世話になっております、Selectra社のインターン募集のお知らせです。(会社についての詳細はこちらをご覧ください。http://selectra.info/

【コンテンツライター】
セレクトラは、2007年設立の電気・ガス料金比較・契約切り替えサポートを行うフランス企業です。日本市場向けのサイト:seletra.jpのコンテンツ作成を行っていただけるインターンを募集しています。
記事は、Drupalというウェブサイト作成のできるオープンソース上で行います。記事作成に必要なトレーニングを受けていただきますので、経験がなくても大丈夫です。ただし、前提としてはパソコンに十分慣れている(ブラインドタッチが出来る、キーボードのショーカットキーが使えるなど)必要があります。


*業務内容
・電力・ガス(都市ガス・LPガス)に関するオンライン記事をSEOのメソッドに沿って作成。
・記事に挿入する画像の加工。
電気料金・ガス料金の料金表のアップデートと確認。
・その他関連業務


*求める人物像
書くことが好きなこと
・読む人の立場にたって論理的な文章を書くことができる人。
・リサーチ能力:丁寧に情報を調べることができる方。
SEOに関する知識がある方、もしくは高い関心のある方。(あればなおよい。)
電力・ガスなどエネルギーに関する理解が必要になりますので、学術的なバックグラウンドは問いませんが、知的好奇心がある方に適しています。


*こんな人に向いています
オンライン・マーケティングに興味のある方
・フランスのスタートアップ企業での就業経験してみたい方。
SEOに興味がある方。
コンテンツライティングに興味がある方。
・ブログを書いたことがある方。


フランス企業ではありますが、日本向けのサービスに従事していただきます。また社内でコミュニケーションは英語でも行えます。そのためフランス語能力は問いません。もちろん、社内の同僚とフランス語で会話するなどフランス語を使用する機会はたくさんあります。

勤務地
住所 66 rue Sébastien Mercier 75015 Paris


お問い合わせは河野様まで
yumi@selectra.jp

パリ政治学院留学記

こんにちは、8月からフランスのパリ政治学院に留学しているS.Hです。
今日から、新学期が始まりました。留学も折り返し地点ということで、この記事ではゆるゆるとこれまでのパリでの学生生活や、僕自身の所感などをお伝えしていければと思います。


基本情報
・東京大学経済学部所属の大学3年生。計量経済・マクロ経済などを主に勉強してました
・東京大学全学交換留学プログラム(USTEP)で1年間の派遣です
・トビタテ!留学JAPAN 4期生
・寮がないので、学校の近くの部屋を借りて一人暮らしをしています
・英語は日本人にしては得意です。フランス語は日常会話レベルすれすれで悶えています


パリ政治学院について
「パリ政治学院って何??」という方のために、まずは学校の紹介から。
パリ政治学院(通称:シアンスポ)とは、フランスのグランゼコールと呼ばれる高等教育機関の一つで、フランスの官僚や政治家養成のための学校として設立されました。卒業生の過半数がビジネス方面のキャリアを選ぶという現在でも、ENA(官僚養成校のラスボス的な難関校)の学生はシアンスポの卒業生が占めるとか。なお、大学ランキングは棒にも引っかからない感じで悲しいのですが、政治学は世界4位とやたら突出してます。名前負けしませんね。
ドメドメな雰囲気が漂ってくる第一印象ですが、実はシアンスポは世界屈指の国際化が進んだ学校でもあります。470の学校と提携を結んでおり、世界150カ国からの学生が学生の47%を占めます。友達に聞くと、「国際性に惹かれた」と話す人も少なくありません。
名前どおりパリにメインのキャンパスがあるのですが(というより街中にある建物の集合群ぐらいがふさわしいかも)、他にもフランス各地に6箇所のキャンパスを持ちます。僕はパリキャンパスなのですが、他のキャンパスに留学している日本人の学生も少なくないようです。
気になる授業ですが、ほぼ全ての授業がフランス語と英語両方で開講されており、フランス語に自信がない人でもやっていける仕様になっています。さすが。区分としては政治学・国際関係学・法学・経済学・歴史・社会学の6つの分野が存在し、学年も専攻も関係なく自分の好きなものを選べる柔軟さも魅力です。
シアンスポの交換留学のホームページはこちら(英語)


学期中の1週間の過ごし方
とにかく時期によるのですが、均してみると
勉強:5.5割 課外活動:1.5割 自由時間:2割 生活関連のゴタゴタ:1ぐらいでしょうか。

【授業】
先学期は4つ授業を履修していました。うち2つが週2コマ(1コマ=2時間)なので、週6コマです。
前述のとおり経済学専攻で、政治学は駒場(東大の最初の2年間は駒場キャンパスの教養課程で勉強します)で申し訳程度にかじったぐらいだったのですが、こちらでは政治思想史や西欧政治史、政治哲学みたいな授業に振り切れています。

War, Peace and the Sovereign States: Political Thought from Machiavelli to Kant(週2コマ)>
タイトル通り、マキャヴェリからカントまで、主要な思想家の原著を読んでいく、という授業です。評価は授業へのコミットとプレゼン2回&ペーパー1つ&期末試験。今学期は正直この授業が一番きつかったです。何しろ、週2回だし読む量が多い。加えて英語が古めかしかったりで死ぬほど分かりづらい。訳本にもよるらしいのですが、僕が入手したマキャヴェリなんて最悪でした笑
とはいえ、やはり日本の大講義だけで終わってしまう授業より遥かに面白かったのも事実です。週1コマは大講義なのですが、フォローアップセッション的にもう一コマ、少人数で討議するクラスがあり、そこでは生徒が発表をし、先生がモデレーター的な役割をつとめる下で、皆で自由に質問を投げかけたりと議論をします。とにかく先生が発言による貢献を求め、発言しない生徒は成績が減点されるという恐ろしい授業だったので、最初の方は半ば意味不明な質問を投げかけていました。思想家を無視して「自由とは何か」という議論で授業が終わってしまったこともあり、かなり自由度が高く日本にはない授業だと実感しました。

Human Rights: A History of Present(週1コマ)>
今学期一番面白かったのがこの授業です。自然権まで辿って人権概念がどのように発展してきたのかを追っていきましょう、という授業。毎週少人数のセミナー形式で展開されて、予習は論文2本ぐらい読んでてきてねーという感じでした。評価は授業へのコミットとペーパー2&プレゼン1回。日本人だと「人権?守るの当たり前だし取り立てて言うことでもないよね」みたいに思いがちですが、実は人権ってものすごく長い歴史があって、しかもそれが言葉として現在のような地位を確立したのはかなり最近のことなのです。幅広い意味を持ちうる概念だからこそ様々な政治主体が自分の都合の良いように言葉を使ってきたし、本当に紆余曲折を経て今の認識が勝ち得られているのだなあと。先生の語り口が上手かったのもあって毎回授業がとても楽しみで、予習も一番頑張っていました笑 授業のメモだけで使い切ったノートは割と読み返してます。

Nations and Nationalism(週1コマ)>
昨今ホットな話題ですね笑 西欧史においては言うまでもなく非常に重要なトピックで、いかに”Nation”は作られるのか、”Nationaism”が欧州各国の歴史において果たした役割は何なのかといったことを少人数授業で勉強していました。予習は本2冊+毎回論文1本ぐらいでそんなに負担は重くありませんでした。評価は授業へのコミットとペーパー1つ&発表1つ。基本的に授業は生徒が交代で発表していくスタイルだったので体系的な知識が身についた、という感じではありませんが、生徒が本当に多国籍(数えてみたら14カ国から集まってました)なのでディスカッションで各国の視点が見れたのが面白い授業でした。特に、みんなで「自分が〇〇人であることを自分の中でどうidentifyしているか」みたいな議論をした時はeye openingな回でした。

Français B1(週2コマ)>
ここまで授業全部英語なのですが、さすがにパリに来て1年もいてフラ語上達しないとしょっぱいので語学の授業も履修していました笑 文法メインな授業でしたが、評価は授業へのコミットに加えライティング3&プレゼン1回&試験2回と語学学校かってくらいアウトプットさせられました。ほぼ毎回グループディスカッションしてたし。先生は英語分からない(たぶん本当に)人で、ひたすら早口でフラ語喋りまくるものだから、最初は一ミリもついていけずかなり落ち込んでいたのですが一学期もやってると上達するものですね。なお、スペイン人とイタリア人は噂どおりチートでした。なぜ君達はこのレベル(B1はフランス語中級ぐらい)のクラスにいるのかってぐらいできるのです。この授業は院生もかなりとってて、いろんなバックグラウンドの人と仲良くなれたのが良かったです。
シアンスポのシラバスはこちら(英語)

【課外活動】
残念ながら、シアンスポはあまり課外活動が盛んではありません。何かしらやろうと思っていたのですが、大抵興味ある活動はフランス語ができないと厳しいですみたいなことを言われ、学校的には帰宅部していました。周りの留学生も課外活動をしていた人は皆無に等しい感じです。やはり言語の壁は高い。
ただ、僕はトビタテ!のアプリケに「1年インターンします! (`・ω´)」という謎のコミットをしてしまったため、日系企業のフランス進出を支援するコンサル会社で週12でインターンをしています。トビタテ!に応募しようとしている人は、アプリケに書いたことを割合厳密に実行しなければならなくなるので注意しましょう。僕の周りにもそれで結構大変な思いをしている人たくさんいます笑
ただ、インターン自体は小さい会社なこともあり、社長に「今後こうしたいんだよね~」って相談されたり、クライアントに持っていく提案資料を作成させてもらえたり、大変ありがたいことになかなか面白いことをやらせてもらえています。
業務がらフランスでビジネスをしている日本企業の苦労話みたいなのたくさん聞かせていただけるのですが、なかなか日本人にとっては信じがたいエピソードが満載で興味が尽きません。

【自由時間】
日本にいた時は忙しくしないと気が済まない病にかかっていたのですが、こっちに来て急に時間が取れるようになり、本を読むようになりました。パリ観光は友達がパリきた時にすればいいや、ということでまだオルセー美術館すら行ってません。あとは、自炊に目覚めてます。外食が高いのでやむを得ない面もあるのですが、何しろ日本でお目にかかれないような食材がたくさん売ってるし、農業大国だけあって(?)素材が美味しいのです。「僕は太らないんです」って公言して憚らなかったのですが、ついにこっちきて体重増えました。他にも、気が向いたら走ったり、気ままな感じで自由時間を過ごしています。書き出してみたら全部一人でできる



感じていること
僕は、パリで一体何をしているのでしょうか。残念ながら実感として「圧倒的成長」してる感じはありませんし、どっかの分野で誰にも負けないぐらい詳しくなったわけでもありません。超レベルの高い友達と切磋琢磨してる日々なわけでもありません。普通に授業の予習をして、普通に授業に出席し、インターンに行って、たまに友達と飲みにいく、普通の日常生活を送っています。もちろん、東大にいたらなかなか得難い経験はたくさんさせてもらえています。カナダ人とワイン飲みながら人生を語り合ったり。レバノン人から家のすぐ近くに爆弾が落とされた話を聞いたり。難民のクラスメートの世界観を聞いたり。授業で思うように発言ができなくて挫折を味わったり。滅多に口をきいてくれないアメリカ人のクラスメートが発表のあと褒めにきてくれたり。拙いフランス語で家の近くのチーズ屋さんのおばあちゃんと仲良くなったり。
ただ、あまり垂直方向に深められている感じはしません。だから、(もちろんまだ半分残っていますが)留学から帰って「君は一体何を学んでどう成長したんだい?」と聞かれたらきっと言葉に詰まり吃るのだと思います。それに焦りを感じないかと言ったら嘘になるし、ともすれば「何か目に見える成果を出したい」と考えてしまったりもします。
それでも、僕は留学に来たことは良かったな、と考えています。一つに、自分をたくさん知ることができたから。二つに、自分のこれまで出した成果がいかに周りの人や環境に支えられたものだったか知ることができたから。

一つ目については、日本であまり置かれない逆境に置かれることが多かったからかもしれません。スタート地点でまず3日間で住むところを見つけないと路頭に迷うところから始まったのもよくなかったのですが(笑)、フランス語の授業では本当にシャレにならないぐらいついていけなくて最初はトラウマになりかけたし、少なくとも英語はそれなりに自信があったのですがリーディングも思うように進まないし英語圏の友達の会話は早すぎてついていくので精一杯だし、などなど。最初は交友関係でもあまり積極的になれず、自信を失っていました。とりわけ、留学に来る前は自分がこんな風になるなんて想像もしていなかったので、余計に辛かったように思います。そうこうする中で、自分がこれまで自分に無意識に求めていた自分像が次第に崩れていって、「これが自分か」という風に受け止められるようになったのが良かったです。肩の力が抜けて自然体になってからは、不思議とパフォーマンスも上がっていったような気がします。

そして、二つ目については、おそらく異国で一人暮らしをしていることが大きいように思います。これは二つに分解できて、まずこれまでの自分の肩書きなんて微塵も意味を持たない環境であること。そして、自分で生活を支えなければならないことです。日本にいた時は、バックグラウンド話すだけで話聞いてくれる人が多かったし、興味を持って話しかけてくれる人もいて、僕的にはものすごい楽していたわけです。それがこっちに来たら「東大?どこそれ?」みたいな環境ですから、本当に自分の人となりをもって相手に認めてもらわないと彼らにとっては僕は「なんかいい人そうな日本人」以上にはなり得ない。そして、話変わりますが日本では夜12時まで学生団体のmtgしたりとかざらな生活を送っていたのですが、これは偏に実家暮らしだったから実現できた生活だったな、と。自分で家契約するのもそうだし、銀行に行って問題を解消したり、スーパー行って自炊したり、みたいな「些細だけどそれをやらないと生活が回らないこと」は意外と多くて意外と時間かかります。でも、それが自分でちゃんとできて自分の生活を自分で支えられて、初めて「自分で生きている」し、自分で出した成果だと胸を張って言えるのかなあ、と。これまで忙しい息子に文句も言わず支えてくれた家族には、感謝の念に絶えません。

留学と一口に言っても、人によって学びは様々だと思います。僕という人間にとってはこうである、というだけであり、留学を考えている皆さんは皆さんなりの学びがきっとあることと思います。
僕とて、まだ留学が終わったわけではありません。帰国する5月に自分が何を考えているのか、とても楽しみです。
少々長くなりすぎてしまったようなので、そろそろ筆を置きたいと思います。
厳しい寒さが続きますが、皆さん身体にお気をつけてください!それでは、au revoir !!