2014年2月25日火曜日

リールという街

初めまして。こんにちは。

立教大学法学部政治学科3年の窪内 尊之と申します。現在休学し1年間リールと言う町のリール第3大学の中にあるDEFIDepartement Enseignement du Français a l’International) と言うところで語学の勉強をしています。

私がフランスに来た理由はフランス語を勉強するためです。が、どうして仏文学や仏語専攻でないのにフランス語を勉強しているのかと疑問に持たれるかもしれません。ですが長くなってしまうので今回はなしにして私のいるリールと言う町について紹介したいと思います。

現在私がいるのはリールという街ですが、どんな町かと聞かれても日本人の方にはなかなか馴染みがなかったり知られていなかったりするのでここから少しずつ紹介して行きたいと思います。

まず簡単にリールの街を紹介しますと、フランス北部のベルギー国境に隣接する都市で、周辺部を含めた人口の規模ではパリ、マルセイユ、リヨンに次ぐフランス第4の都市でフランス北部の工業地帯の中心的役割を担う都市です。
リールはパ=ド=カレー県の県庁所在地であると同時にノール地域圏の首府でもある


またフランスの軍人、政治家であるシャルル=ド=ゴールがリールの出身であるのでリール中心の広場には彼の名前が付けられています。
シャルル=ド=ゴール広場

リールのノートルダム聖堂


リールの商工会議所とオペラ座

同時に学芸や文化的にも盛んな街で多くの教育機関が存在し、フランスでも有数な規模の美術館を持つ都市でもあります。最近ではリール近郊のランスと言う街にルーブル美術館の分館ができたりもしています。
リール美術館


またリールは交通の便がとても良く物流の中心地でもあります。具体的にはTGVでリールからブリュッセルまで30分、パリ1時間、ロンドンまでは2時間弱といった具合です。

また市内には無人運転のメトロとトラムが2路線ずつ通っていてベルギーの国境近くまで行くことができます。メトロの各駅は様々な芸術家によってデザインされておりひとつひとつの駅が全く異なる雰囲気で非常に面白いです。
リール=フランドル駅。元々はパリ北駅だった建物を移築した。(ロンドン、ブリュッセル行きのTGVはもう1つのリール=ヨーロップ駅から発着する)



このようにパリよりもブリュッセルに近いため多くの人が週末に出かける際や海外に旅行する際にはパリのシャルルドゴール空港ではなくブリュッセル空港へ行く人の方が多いです。またフランスとベルギーでは消費税などの税率も異なるのでわざわざベルギーまでタバコやお酒を買いに行く人もいるそうです。

このようになかなか変わったところに位置しているリールですがリロワーズ(リールの住人のこと。パリならパリジャン。)の話す言葉もなかなか変わっています。リールなどフランス北部の一部は元々ベルギー南部のワロン文化圏に含まれているため、同じフランス語でも話すのがとても速かったりワロン語のなまりや言い回しなどもあったりと独特です。(日本で言うと東北弁のようなイメージでしょうか。)
ほとんどの人がワインよりもベルギービールを好んで飲むといった文化的な違いもあります。
ベルギービールのKWAK。フラスコのようなグラスで飲む。
各銘柄によってグラスが異なるのも面白い点。



現在私が学んでいるリール第3大学はフランスの公立大学で主に人文科学系の学部が集まっています。リール第1大学は自然科学系、リール第2大学は社会科学系の学部から構成されています。リール第3大学は語学や国際関係を学ぶ学生が多いのでERASMUS(エラスムス、EU内での留学制度)やISEP(アイセップ、アメリカの留学制度)、交換留学等によって世界各国から様々な人種、文化、言語の人々が留学してきています。個人的なイメージだと近年EUに加盟した東欧の諸国から来ている学生が多いような気がします。

以上が僕の住んでいる街、リールになります。まだまだ少ししかリールの生活について紹介できていないので次回からもっと紹介していきたいと思います。
それではまた。

窪内 尊之


2014年2月19日水曜日

パリで4つの活動―映画、テアトル、写真、音楽

こんにちは。はじめまして!
法政大学4年生、9月からパリ第七大学に派遣中の山城ゆか(ユカタン!)です。

日本でもこちらでも映画とフランス語をしています。
パリを選んだ理由は、やっぱり映画の街だからです。ここで生活していると、いろんな映画に出会えます。というのは、パリには様々なタイプの映画館が、日本や他の町と比にならない程あるし(実は世界一、映画館の多い街なのである)、映画館ごとにその週、月、シーズンで映画祭や特集を組んでいます。こうして、今まで日本で出会ってこれなかった面白い作品や監督にたくさん出会うことが出来るのです。

その中でも私がよく行くのは、映画好きには定番のCinematheque FrancaiseとForume des imagesです。他の小さな映画館にも行きますが、この2つは年間カードで見放題なので、時間さえあればそこで1日に2本も3本も映画を観ています。

最近もCinematheque Francaiseで映画を観ていたら、わたしの前に座っていた男性2人がその映画の監督と主人公を演じた俳優で、うしろには女優さんが座っていたので、勝手に上映後に質疑応答の時間が始まるという面白いエピソードがありました。(しかもその映画は20年前のものです。笑)映画を観ていたパリジャンも、シネマテークのスタッフも、みんなノリノリでそれは40分ほど続きました。制作者と観客の距離の近さ、観客も映画についても友だちのように良いところ悪いところ何でも指摘していくところ、この国の好きなところです。

その図(俳優とDante Desarthe監督)


でも毎日、映画だけ観ているわけではありません ^_^ 
わたしがパリで大事にしている活動をいくつか挙げるとすると、映画の次にテアトルと写真、音楽があります。
テアトルと写真は、私の住むCite Universitaire Internationale de Paris を拠点に行われているアトリエです。

テアトルでは、演じて、舞台での演出を学んでいます。アジア人が一人だったので、アジア人というアイデンティティをもとに小さな一幕を他の学生とつくりました。私たちの先生はベラン・キュビラというパリで活躍するテアトル女優で、2週間に1回、4時間みんなで1幕を作っています。


うしろでにやにやしてるのが私 :P


写真の活動は8月から友人宅の暗室で始めていました。これまで現像の仕方などを教わってきましたが、いよいよ今年からアトリエが始まり、寮で暗室が使えるようになりました。

アトリエの活動としては現像以外に、sténopé(針穴写真機)を作ったり、マン・レイたちがやっていたようなphotogrammes (またはrayogrammes)の実験をしたりします。この後はポートレートをとりながら写真集をつくり、その展示準備をすることになりそうです。講師はアラン・エリントンという、パリで活躍するイギリス人写真家です。
例のsténopé を作ってるところ

フランスで撮って現像した写真

音楽の活動について少し書くと、週に1度、バイオリンを習っています。学生同士なので、授業は無料です。また、パリでは毎晩すばらしいコンサートが5ユーロからあるので、週に1回音楽を聞きに行きます。最近よく行くのはシャンゼリゼ劇場です。日曜日の朝の学生12ユーロのコンサートは、座席指定がないので、毎週1番前の列で音楽を楽しんでいます。


 
 わたしはシャイな性格ということもあって、何か自分の好きなことをしながら、すこしずつ人に出会うのが好きです。そんなわたしにとってパリは、とても住みやすいところです。世界中のアート、カルチャー、そういうものが、有名なものに限らず、本当にたくさん集まってくるし、それを身近なところで、方法で、うんと提供してくれるので、自分の世界を広げながら、それを人と共有する楽しみがあります。

わたしはどんなにかじっても、まだまだおいしいところがいっぱいいっぱいあるパリが大好きです。^_^



さて、今回はこのあたりにして、次回は寮生活や大学の授業について書かせて頂きます。^_^ 

ユカタン

2014年2月8日土曜日

パリの”歴史軸”

 こんにちは!エセック留学中の榎本高之です。

仏留学に関して複数の学生の声が纏まったwebサイトがないと感じ開始した弊ブログですが、ご覧の通りたくさんのメンバーが集まり盛り上がってきている今日この頃です。僕の学校は日本人がほとんどいないので、この機会は日本語を思い出すのに最適だったりします。笑


今日は“Axe Histoire(歴史軸)”について。
Axe Historique
(画像: http://www.lenotre.culture.gouv.fr/fr/ja/tu/foc04.htm)
エトワール凱旋門(Arc de Triomphe)を起点に、シャンゼリゼ通りを下りオベリスクを臨み、コンコルド広場からテュイルリー公園(Jardin des Tuileries)に入る。
振り返ればシャンゼリゼと凱旋門の向こうにビジネス街ラ・デファンス(La Défence)の新凱旋門(グランダルシェ。La Grande Arche de la Fraternité)が幽かにみえる。
公園を進み、カルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)を経てルーブル美術館、ガラスのピラミッド(Pylamide du Louvre)へ。
―”Axe Histoire (歴史軸)” と呼ばれる線分上を歩いていることになります。


さて、”歴史軸”とは何か?


フランス流の景観設計には“軸”の設置が欠かせません。

17世紀にはじまるフランス式庭園は、軸線を強調し幾何学的に設計が行われたもの。

ヴェルサイユ宮殿の広大ながら均整のとれた庭園設計はこの代表です。
上空からみたヴェルサイユ宮殿。北西から南東に軸が伸びる
(Google Mapよりキャプチャ)

“パリの歴史軸”は、この均整のとれた景観の中心を為す軸に、軸上の建造物の歴史を重ねたことから名づけられています。


軸上の3つの“凱旋門”を比較してみます。


最北の“新凱旋門(la Grande Arche de la Fraternité)”
 新凱旋門の名は日本独特で、凱旋を意味する”Triomphe”は元来の名前にありません。直訳するなら“友愛の大アーチ”。フランスらしい。
新凱旋門はオフィスビルとして活用されている
(画像:
http://www.parisinfo.com/musee-monument-paris/71478/Grande-Arche-de-la-Defense
フランソワ・ミッテラン政権下で建設が最終決定され、1989年に完成ましたが、この年はフランスにとってとっても特別な年。


1789年、フランス革命。そう、200周年なんです!


なお、100周年目にはエッフェル塔が立てられ、万国博覧会が開催されています。偶然ではありません。


 
中心、エトワール凱旋門(Arc de Triomphe)


単に“凱旋門”とも呼ばれますし、元々の仏語もそう。他の凱旋門と区別するために、このエリアの名称エトワール(Étoile)がつけられることがあるわけです。Étoileはフランス語で”星”。凱旋門を中心に放射線状に道路が広がる景観が、上空から星にみえることから、この名がつけられています。
凱旋門屋上からエッフェル塔、アンヴァリッド、
モンパルナスタワーをみる 






フランスの学生証があれば留学生でも無料で屋上の展望階に上がることができます。




最南端、カルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)

8区のコンコルド広場(Place de la Concorde)からチュイルリー公園に入ると、パリの中心地にいるとは思えない、広々とのどかな公園が広がっています。



まっすぐ南東へ下るとカルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)が見えてきます。最も有名なエトワール凱旋門に比べなんだか小さい。


元来アウステルリッツの戦い(三帝会戦。Bataille d'Austerlitz)でロシア・オーストリア連合軍へ勝利した後、これまでの勝利を称えるものとしてナポレオンが造らせたのが、カルーゼル凱旋門。完成後この小ささに落胆したナポレオンは、新たな門の建設を指示。そして現在本家とされているエトワール凱旋門が誕生したわけです。そういった背景をもつ可哀そうなカルーゼル凱旋門は、元々の小ささも相俟ってなんだか寂しげに見えます。

このカルーゼル凱旋門までを歴史軸とする説もありますが、更に進むとルーブル美術館のメインエントランスが見えてきます。ルーブルのピラミッド(Pyramide du Louvre)
このピラミッドがルーブル美術館のメインエントランス。背後はルーブル美術館の一部、ドノン(Denon)翼
グランダルシュと同じ1989年の完成。ここまでが歴史軸と呼ばれることが多い印象です。なお、授業ではその先のヴォージュ広場(Place de Vosges)までを歴史軸と定義していましたが、直行路がなく直線自体から外れています。

ところでルーブル美術館は、“広すぎて纏まりがない”というのが正直な印象です。余りにも多くの展示品()、余りにも多くの展示スペース()、余りにも多くの“有名な品”。既に3回行き計12時間ほど見て回っていますが、まだ見終わっていません。(もちろん、ざっと見まわるだけなら2,3時間で終わると思います。勉強しようと思いだすと、一通り理解するには20時間以上はかかるのではないでしょうか

“モナリザ,”“民衆を導く自由の女神,”“ナポレオンの戴冠式,”“レースを編む女,”“カナの婚礼,”“ルイ14,”“シテール島の巡礼”(以上絵画)

“ミロのヴィーナス,”“サモトラケのニケ,(以上彫刻)

“ハンムラビ法典”

などなど数えきれないほどの傑作・著名品に溢れた美術館。

モナリザ(Mona Lisa)は防弾ケースの中に
ミロのヴィーナス(Venus de Milo)

ところで大英博物館もリヨン美術館もそうでしたが、エキゾチックだからか古代エジプト・メソポタミアに関する貯蔵品はこれでもかというほど幅をとってミステリアスに展示されています。欧州人は好きなんでしょうね。

ちなみに先ほどの凱旋門で軽く触れましたが、留学生含めフランスで学ぶ学生は、ルーブルを始めとして様々な美術館・博物館・観光施設が入場無料になります。信じられないほど太っ腹。このおかげで、パリでちょっと時間が出来ると美術館に行く、など贅沢な一日の使い方もできてしまいます。最高。

 さて、“パリの歴史軸”は、伝統的なフランス式景観設計を基盤とする、3つのアーチを含め荘厳な歴史あるモニュメントをつなぐ線分というわけですね。パリに来た際はこの軸の一地点に立ち二端を眺め、すっと伸びる軸の美しさを体感してみてください。


次回はマーケティング関連の授業を一つ纏めようと思います。




榎本高之