2014年3月26日水曜日

フランス語のすすめ

こんにちは、CIREFE在籍の志村です。

今回は「フランス語のすすめ」と題して、生意気にもフランス語プチ講座をやっちゃおうと思います!もっぱら“発音”に焦点を当てて書いてみるつもりです。なぜこんなことを思い立ったかというと、日本で出回っている参考書の類があまり信用ならないからですね。ちなみにその元凶は“カタカナ”です。

 

さて、突然ですがカタカナと英語の距離感について考えてみました。それでわかったのが、英語とのこの可もなく不可もない絶妙な距離感こそが、外国語は全てカタカナで置き換えられるという幻想を日本人に抱かせてしまったんじゃないかということです。

 

どういうことか?例を見てみましょう。

 

“現代芸術”を英仏で比べてみます。

 

英:Contemporary Art

コンテンポラリー アート

 

まぁ、細かいところをつっこまなければいいとしましょう。

では次、

 

仏:Art Contemporain

アール コンタンポラン

 

ちょっと待った!

これです。こういう悲劇がフランス語ではあり得るのです。

 

フランス語をちょっとでも知っている人ならわかると思いますが、ここにはいくつものトラップがあります。まずは鬼門と言われる“r”の音。喉を使って発音し、いろいろな表情を見せるユニークな音ですが、「アール」は論外。“Art”を正確に記述できるカタカナは残念ながらありません (“r”の発音についてはこれといってコツというのもありません。よく聞いて、真似をする。練習あるのみですね笑)。さらに“Contemporain”、これには“r”も然ることながら、鼻母音(鼻を通して発音する母音)と呼ばれるフランス語独特の母音が豪華3点セットで盛り込まれています。ここでは“on”、“em”、“ain”がそれに当たりますが、「コンタンポラン」と言ってしまえば“em”と“ain”の区別がなくなっています。それに“em”は、どちらかというと「オン」に近い音です。

 

そういうわけで、カタカナを信じてはいけません。というかフランス語を勉強する上でたいして有効なツールでもありません。英語の場合にどうしてカタカナが役に立つかというと、発音規則がすこぶる曖昧だからなんですね。綴りを頼りに単語が読めない。だから近似でもいいからカタカナが役に立つ。けれどフランス語では、一度発音規則を覚えてしまえばあとはだいたいその通りに発音できるので、カタカナはそもそも必要ないということです。アクサン記号なども最初は厄介ですが、つまりは正しい発音への道しるべであり、覚えてしまえば味方です。だからまずは、発音規則をちゃんと覚えましょう!

 

それが出来たら、個々の音に注意を向けてみましょう。例えば“eu”と“ou”の綴りでは、敢えてカタカナで書けば両方「ウー」ですが全く違う音です。“humeur”は「機嫌」という意味ですが、“humour”は「ユーモア」という意味です。このように、微妙な発音のずれで意味が変わってしまうものが鼻母音に限らず多くあるのがフランス語の特徴。裏を返せば、英語の約半数くらいの量しかない語彙を発音の厳密さで補っているとも言えます。音に敏感になるべきというのはもちろん綺麗に発音するためでもありますが、同時に正確に聞き取るためでもあります。ちゃんと区別ができないとちゃんと聞き取れません。

 

それから、フランス語の性格について考えてみると面白いことがわかります。というのも、とかく特殊な音として扱われがちの鼻母音ですが、実際はそんなこともなさそうなんです。そもそも日本語や英語とフランス語では、喋るときに使っている口の部位が根本的に違います。これは感覚的なものなので言葉で説明するのは難しいですが、一般的なフランス人(と一応断るのは、移民系のフランス人にはあてはまらないから)のフランス語では、口の奥、口腔と鼻腔が分岐するあたりから音を出しています。試しに鼻歌を歌ってみてください。はい、そこです。対して日本語では口全体を広く使い、英語では舌の上あたりしか使っていない気がします、なんとなくですが笑。ともかく、フランス語は鼻を使って喋る言葉です。だから鼻母音は決して特殊な音ではなく、たまたま「アン」とか「オン」とか言おうとしたらそういう音になっただけであり、他の音だって鼻を使うのです。

 

 

では最後にまとめますと、

①発音規則をしっかり覚える

②それぞれの音を意識ししっかり区別する

③風邪を引いたようなつもりで鼻を使って話す

 

これであなたもきっと、

フランス人のような発音ができるようになります(責任はとりません笑)

 

 

それではまた!

 

 

 

志村 響

0 件のコメント:

コメントを投稿