2015年4月4日土曜日

パリの街に溶けこむ

   こんにちは。

 Sciences Po Paris(パリ政治学院)に留学中の鈴木理紗子です。

 早いもので、もう留学生活も終盤に近づいています。課題をやる時間、遊ぶ時間、ぼーっとする時間が同時に欲しいため、「時よとまれ」と思うことの多い今日この頃ですが、そうもいかないのでエネルギッシュに日々過ごそうと思うばかりです。

 さて、留学生活で体験できることの一つとして、「社会に溶けこむという体験をする」ことが挙げられるかと思います。街中の知らない人との何気ない会話をふりかえってみると、留学当初からの変化を感じることができます。今日は、その過程についてみなさんにお話したいと思います。新しい土地にうつり住んだ経験のある方はどこか思い当たるところがあるのではないでしょうか。

8月—9月:「観光客」。毎日とにかく緊張する。自分は何もわからないという姿勢で子犬のような目で人のいうことに耳を傾ける。お店の人の“Voulez-vous un sac?”に答えるだけでも緊張。心が観光客なので、振舞いにもそれが現れていたようである。きょろきょろしているし、何となく服装も街に溶け込め切れていないので、話す以前で馴れていないことがばれるようである。パリを訪れた観光客で、常にうきうきしている。



 (観光客気分のころに撮った写真)

10月—12月:「一時滞在の外国人」。馴れる。会話はできることがわかったので多少の自信を持つ。モノプリでモノプリバックを買う観光客に助け舟を出す自分に自己陶酔する。しかし、その直後に向かう授業で錯覚であったと痛感。うきうきする感じは消えるが、言葉が通じないかもしれない不安がいつもあり、緊張が抜けない。服装に時間をかけていられなくなりラフになり、街にとけこむ。何となくパリに馴染んだ一時滞在の外国人になる。

1—2月:「パリに少し根をはった外国人」。”Salut“の発音が9月に比べ非常にうまくなったため、あいさつだけだとネイティブぶれるようになる。お店の人に話しかけられるようになるし、自らも話すようになる。緊張は完全に抜ける。観光客からパリに根を持つ外国人のフェーズに移ったことを実感。

 20代になってから根付いていない土地に根をはる作業は、自然にできることではなく意識的に行わないとできないとわかりました。周りをよくみて模倣する。フランスでは(パリでは)、文化を理解し慣習に従えば、そしてフランス語を使えば、外国人であってもフランス人と隔たりなく接してくれるようです。


(最近の筆者Sciences Po前にて)

10ヶ月弱暮らし、パリの社会には確かに溶けこめてきました。しかし最近、「フランスの学問の基本は文章で表現すること!話せても書けないと全く無意味」との言葉をとある授業で聞き、満足するにはまだ早すぎると思わずにはいられないのでした。

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