こんにちは!エセック留学中の榎本高之です。
仏留学に関して複数の学生の声が纏まったwebサイトがないと感じ開始した弊ブログですが、ご覧の通りたくさんのメンバーが集まり盛り上がってきている今日この頃です。僕の学校は日本人がほとんどいないので、この機会は日本語を思い出すのに最適だったりします。笑
今日は“Axe Histoire(歴史軸)”について。
Axe Historique (画像: http://www.lenotre.culture.gouv.fr/fr/ja/tu/foc04.htm) |
エトワール凱旋門(Arc de Triomphe)を起点に、シャンゼリゼ通りを下りオベリスクを臨み、コンコルド広場からテュイルリー公園(Jardin des Tuileries)に入る。
振り返ればシャンゼリゼと凱旋門の向こうにビジネス街ラ・デファンス(La Défence)の新凱旋門(グランダルシェ。La Grande Arche de la Fraternité)が幽かにみえる。
公園を進み、カルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)を経てルーブル美術館、ガラスのピラミッド(Pylamide du Louvre)へ。
―”Axe Histoire (歴史軸)” と呼ばれる線分上を歩いていることになります。
さて、”歴史軸”とは何か?
フランス流の景観設計には“軸”の設置が欠かせません。
17世紀にはじまるフランス式庭園は、軸線を強調し幾何学的に設計が行われたもの。
ヴェルサイユ宮殿の広大ながら均整のとれた庭園設計はこの代表です。
上空からみたヴェルサイユ宮殿。北西から南東に軸が伸びる (Google Mapよりキャプチャ) |
“パリの歴史軸”は、この均整のとれた景観の中心を為す軸に、軸上の建造物の歴史を重ねたことから名づけられています。
軸上の3つの“凱旋門”を比較してみます。
最北の“新凱旋門(la Grande Arche de la Fraternité)”
新凱旋門の名は日本独特で、”凱旋”を意味する”Triomphe”は元来の名前にありません。直訳するなら“友愛の大アーチ”。フランスらしい。
新凱旋門はオフィスビルとして活用されている (画像:http://www.parisinfo.com/musee-monument-paris/71478/Grande-Arche-de-la-Defense) |
フランソワ・ミッテラン政権下で建設が最終決定され、1989年に完成ましたが、この年はフランスにとってとっても特別な年。
1789年、フランス革命。そう、200周年なんです!
なお、100周年目にはエッフェル塔が立てられ、万国博覧会が開催されています。偶然ではありません。
中心、エトワール凱旋門(Arc de Triomphe)
単に“凱旋門”とも呼ばれますし、元々の仏語もそう。他の凱旋門と区別するために、このエリアの名称エトワール(Étoile)がつけられることがあるわけです。Étoileはフランス語で”星”。凱旋門を中心に放射線状に道路が広がる景観が、上空から星にみえることから、この名がつけられています。
凱旋門屋上からエッフェル塔、アンヴァリッド、 モンパルナスタワーをみる |
フランスの学生証があれば留学生でも無料で屋上の展望階に上がることができます。
最南端、カルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)
8区のコンコルド広場(Place de la Concorde)からチュイルリー公園に入ると、パリの中心地にいるとは思えない、広々とのどかな公園が広がっています。
まっすぐ南東へ下るとカルーゼル凱旋門(Arc de Triomphe du Carrousel)が見えてきます。最も有名なエトワール凱旋門に比べなんだか小さい。
元来アウステルリッツの戦い(三帝会戦。Bataille d'Austerlitz)でロシア・オーストリア連合軍へ勝利した後、これまでの勝利を称えるものとしてナポレオンが造らせたのが、カルーゼル凱旋門。完成後この小ささに落胆したナポレオンは、新たな門の建設を指示。そして現在本家とされているエトワール凱旋門が誕生したわけです。そういった背景をもつ可哀そうなカルーゼル凱旋門は、元々の小ささも相俟ってなんだか寂しげに見えます。
このカルーゼル凱旋門までを歴史軸とする説もありますが、更に進むとルーブル美術館のメインエントランスが見えてきます。ルーブルのピラミッド(Pyramide du Louvre)!
このピラミッドがルーブル美術館のメインエントランス。背後はルーブル美術館の一部、ドノン(Denon)翼 |
グランダルシュと同じ1989年の完成。ここまでが歴史軸と呼ばれることが多い印象です。なお、授業ではその先のヴォージュ広場(Place de Vosges)までを歴史軸と定義していましたが、直行路がなく直線自体から外れています。
ところでルーブル美術館は、“広すぎて纏まりがない”というのが正直な印象です。余りにも多くの展示品(点)、余りにも多くの展示スペース(点)、余りにも多くの“有名な品”。既に3回行き計12時間ほど見て回っていますが、まだ見終わっていません。(もちろん、ざっと見まわるだけなら2,3時間で終わると思います。勉強しようと思いだすと、一通り理解するには20時間以上はかかるのではないでしょうか…)
“モナリザ,”“民衆を導く自由の女神,”“ナポレオンの戴冠式,”“レースを編む女,”“カナの婚礼,”“ルイ14世,”“シテール島の巡礼”(以上絵画)
“ミロのヴィーナス,”“サモトラケのニケ,”(以上彫刻)
“ハンムラビ法典”
などなど…数えきれないほどの傑作・著名品に溢れた美術館。
モナリザ(Mona Lisa)は防弾ケースの中に |
ミロのヴィーナス(Venus de Milo) |
ところで大英博物館もリヨン美術館もそうでしたが、エキゾチックだからか古代エジプト・メソポタミアに関する貯蔵品はこれでもかというほど幅をとってミステリアスに展示されています。欧州人は好きなんでしょうね。
ちなみに先ほどの凱旋門で軽く触れましたが、留学生含めフランスで学ぶ学生は、ルーブルを始めとして様々な美術館・博物館・観光施設が入場無料になります。信じられないほど太っ腹。このおかげで、パリでちょっと時間が出来ると美術館に行く、など贅沢な一日の使い方もできてしまいます。最高。
さて、“パリの歴史軸”は、伝統的なフランス式景観設計を基盤とする、3つのアーチを含め荘厳な歴史あるモニュメントをつなぐ線分というわけですね。パリに来た際はこの軸の一地点に立ち二端を眺め、すっと伸びる軸の美しさを体感してみてください。
次回はマーケティング関連の授業を一つ纏めようと思います。
榎本高之
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